Transient Acantholytic Dermatosis
当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません。
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。
Transient Acantholytic Dermatosis (Grover's disease)
本症は躯幹・四肢に掻痒を伴う丘疹や小水疱が突然多発しはじめ、数か月~1年程度で一時的に消退しますが、長期にわたり軽快増悪を繰り返す、原因不明の稀な疾患です。
疫学
中高年者に多く、男女比は約2:1です。また、遺伝的素因を認めません。
原因
原因は不明ですが、過度な発汗や温熱刺激、日光暴露や機械的刺激などが誘因になることがあります。さらに、治療薬(スルファドキシン/ピリメタミン、リバビリン、セツキシマブ、インターロイキン4など)、電離放射線照射、腎不全末期や血液透析、長期臥床なども関与しているとの報告があります。
病理組織所見
錯角化を伴う過角化があり、表皮肥厚を認めます。有棘層から基底層にかけて裂隙が形成され、その直下の真皮乳頭層は突出して絨毛様を呈します。裂隙内には、棘融解細胞や異常角化細胞を認め、真皮浅層の血管周囲にはリンパ球浸潤がみられます。
治療
ステロイド外用と抗ヒスタミン内服の併用で治療されることが多いですが、悪化時はエトレチナート、イソトレチノインやステロイド内服されることもあります。最近ではアダパレンゲル外用して軽快した報告もあります。
海外では、テトラサイクリンやPUVA光線療法なども試用されることがあります。
執筆:2022.12