Bowen 病
Bowen 病 (Bowen's disease)
本症は表皮内有棘細胞癌(squamous cell carcinoma in situ)に相当する病変であり、異型細胞が表皮全層性に増殖している点が特徴的です。
症状
円形から楕円形のやや不整型で、境界が比較的明瞭な直径数cm 程度の紅褐色~黒褐色調の浸潤性局面が徐々に拡大してきます。扁平隆起性の局面で、表面は鱗屑または痂皮に覆われ、これを剥離すると紅色の糜爛面が露出します。ときに小結節や肉芽腫を呈することもあります。成人特に、高齢者に単発することが多いです。放置すると基底膜を破り有棘細胞癌に進行し、リンパ節転移することもあります。このように進行したものはBowen 癌と呼ばれます。
原因
単発性のBowen 病では病因不明であることが多いです。露出部位に生じるBowen 病は日光照射やヒトパピローマウイルスが関与するとされます。この他にも、免疫抑制状態(エイズを含む)、皮膚傷害、慢性皮膚炎などが挙げられています。
多発性のBowen 病では、露光部以外にも出現することが多く、砒素摂取との関連性が高いため、診断には摂取既往の聴取(集団砒素中毒、慢性農薬中毒、砒素駆梅療法)が重要となります。
病理所見
個細胞角化(indivisual cell keratinization)と多核の異常角化細胞(clumping cell)が特徴的です。
治療
本症の進行は通常遅いですが、腫瘍化や潰瘍がみられれば、できるだけ早く治療します。
切除可能であれば、外科的切除が第一選択となります。その他に、凍結療法、抗腫瘍薬軟膏外用(5-FUおよびブレオマイシン)イミキモド外用などがあります。
執筆:2011.11