ガーダシルとサーバリックス(子宮頸癌用ワクチン)

子宮頸癌の病因と予防ワクチン(ガーダシルとサーバリックス)

子宮頸癌は、ほぼ100%発癌性ヒトパピローマウィルス(HPV)の感染が原因であると考えられています。子宮頸癌の原因になる発癌性HPVは現在15種類ほど知られており、性交で感染します。これらのHPVは性交体験のある女性の80%が生涯に一度は感染するといわれるほど日常的なウィルスです。HPVに感染した場合でも、通常は容易に排除されて子宮に留まっているのはごく短期間です。しかし、HPVの自然感染では自己免疫が獲得できず、再感染を繰り返すうちに、何回目かの感染で持続感染に移行する危険性があります。このようになると、ごく稀にHPVが子宮上皮に潜り込み、長期間にわたって正常細胞に攻撃をし続け、正常の子宮頚部上皮細胞が異形成(前癌状態)を呈して、最終的には癌細胞へと変化していきます(図1)。


【図1】

子宮頸癌から検出されるHPVのタイプは、世界的にも16型と18型が最も多く、日本でも他の各国と同様にHPV16&18型が最も多く、約60%の子宮頸癌から検出されています。また、子宮頸癌の発症率が高い20-30歳代の日本の若年層では、HPV16&18型の占める割合が約80%と高くなっています。一方、40歳代以降でもHPV16&18型は検出されることから、性交機会がある限り、年齢には関係なくHPVの感染リスクは続いていると言われています。 そこで、子宮頸癌の発症リスクの高いHPV16&18型の感染予防ワクチンとして開発されたのがガーダシルとサーバリックスです。両者ワクチン共に、HPV16&18型のL1蛋白(HPVの殻)のみからできたウィルス様粒子(virus-like particle; VLP)を抗原とした不活化ワクチンを持ち、ウィルスDNAを含まないため、感染性はありません(図2)。


【図2】

これに加えて、アジュバント(免疫増強剤) [ガーダシルではアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩、サーバリックスではAS04]を付加することで免疫応答を増強させて、高い抗体価を長期間維持させることが出来ます。
サーバリックスはHPV16&18型の子宮頸癌予防ワクチンですが、ガーダシルはHPV16&18型ならびに尖圭コンジローマの原因になるHPV6&11型を加えた4価の予防ワクチンになっています。これにより、子宮頸癌、外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍のみならず、再発しやすい良性腫瘍である尖圭コンジローマも予防するワクチンになっています。
ガーダシルは、海外試験結果によるとHPV16&18型に起因する高度子宮頸部病変(cervical intra- epithelial neoplasia ; CIN2/3またはadenocarcinoma in situ; AIS)を96.9%予防し、HPV(6、11、16、18型)に起因する低度病変を含む子宮頸部病変(CIN1/2/3またはAIS)を100%予防しました。また、HPV(6、11、16、18型)に起因するHPV疾患(外陰上皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍)を100%予防し、HPV(6、11、16、18型)に起因する尖圭コンジローマを100%予防しました。その効果は少なくとも4年にわたり効果が持続しており、現在も長期観察中です。
サーバリックスでも、HPV16&18型に起因する前癌病変に対してガーダシルの試験結果とほぼ同等の予防効果を示し、全ての発癌性HPVに起因する前癌病変(cervical intra- epithelial neoplasia; CIN2+)の予防に対する有効性をみた海外の試験では、初交前の女児を想定された群(15-25歳)では70.2%、性行動のある女性を想定された群(15-25歳)でも61.9%と、60-70%程度の予防効果が認められています。 その効果は少なくとも6.年にわたり効果が持続しており、現在も長期観察中です。尚、両者の効果(子宮頸癌の予防)を直接比較した長期臨床試験結果はないので、その優劣は現時点では不明です。
しかし、これらのワクチン接種による一時予防を行っても、全ての型の発癌性HPVの感染を予防できるわけではありませんので、その後も子宮頸癌に対する定期的な産婦人科的検診を行って二次予防することが必要です。
また、26歳以降の女性におけるガーダシルならびにサーバリックスの子宮頸癌への予防効果に関しては、現在大規模臨床研究されていますが、未だ結論は出ていません。

接種対象

国によっても異なりますが、概して9-26歳までの女性が優先されます。特に、初交前の女児に接種をすることが理想的です。しかし、性交経験がある女性でも未だ持続感染になっていない場合は、新たな感染の予防をして子宮頸癌になるリスクを低減するという意味では有効です(日本産婦人学会や日本小児科学会や日本婦人科腫瘍学会でも、15-45歳においてもワクチン接種を推奨しています)。 尚、このワクチン接種時に、既に感染が成立している発癌性HPVを排除したり、発症している子宮頸癌や前癌病変の進行を遅らせたり、治療することはできません。また、HPV(6,11,16,18型)のいずれかのHPV型に感染している場合、そのHPV型に対するワクチンの予防効果は期待できませんが、他の型のHPVに対する予防効果は期待できます。

接種方法

1回0.5mlを上腕三角筋に筋肉注射を3回接種します(ガーダシルでは9歳以上の女性に0ヵ月、2ヵ月、6ヵ月;サーバリックスでは10歳以上の女性に0ヵ月、1ヵ月、6ヵ月)。
*1回目にガーダシルあるいはサーバリックスを接種した場合には、2回目、3回目の接種も同じワクチンを使用してください。1回目以降、2、3回目で他のHPVワクチンを接種した場合の予防効果は確認されていません。
尚、本剤の予防効果の持続期間は確立していないため、その後も追加接種が必要になる可能性があります。

接種上の注意点

接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)

被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、接種を行ってはならない。
・明らかな発熱を呈している者
・重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
・本剤の成分に対して過敏症を呈したことがある者
・上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)

被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判定を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応及び有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
・血小板減少症や凝固障害を有する者(本剤接種後に出血があらわれる惧れがある。)
・心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
・予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
・過去に痙攣の既往のある者
・過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者(免疫抑制療法、遺伝的欠損、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染あるいは他の要因のいずれかによる免疫応答障害を有する被接種者は、能動免疫に対する抗体産生反応が低下することがある。また、HIV感染患者に対する本剤の安全性、免疫原性及び有効性は十分に評価されていない。〕
・妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
・子宮頸癌予防ワクチンの接種を受けたことがある者

その他

・妊娠の可能性を確認してください。
→本剤の妊婦への接種は避けてください。また、3回の接種が完了しないうちに妊娠した場合は、出産後まで接種を延期してください。
・ここ1ヵ月以内に受けた予防接種の種類と実施日を確認ください。
→生ワクチンの接種を受けた方は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた方は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種する必要があります。

副反応

ガーダシルでは、注射部位の症状(疼痛82%、発赤22%、腫脹24%)が多く、全身性の副反応(頭痛20.5%、発熱10.1%、悪心3.7%、浮動性めまい2.9%及び四肢痛1.5%)もありますが、中止するほどのものではありません。症状のほとんどは数日で消失します。
サーバリックスでも、注射部位の症状(疼痛99%、発赤88%、腫脹79%)が多く、全身性の副反応(疲労58%、筋痛45%、頭痛38%、胃腸症状25%、関節痛20%、発熱6%など)もあります。
重大な副作用として、過敏症反応(アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、気管支痙攣、蕁麻疹等)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎等がありますが、稀です。
最後に、これらワクチン接種は高価なため、国による公的支援が必要であることは勿論ですが、世界的に子宮頸癌を引き起こしているHPV16&18に対する予防ワクチンだけでなく、日本における子宮頸癌に比較的多く関与しているHPV52&58に対しても有効な次世代ワクチンの開発も急務と考えられます。

接種費用

公費接種(9-20才までの女性)の場合

子宮頸癌予防ワクチン接種に対して費用の一部助成に関するお問い合わせ
品川区保健所保健予防課
TEL:03-5742-9153
品川区の場合、1回接種ごとに8,000円を助成します。(最大3回まで助成 計24,000円)

自費接種(21才以降の女性)の場合

1回予防接種注射毎 (ガーダシル¥16,800  サーバリックス ¥16,800)
※予防接種に関しては、初診料や再診料はかかりません。
※この予防接種は、予防接種法に基づかない任意の接種であり、健康被害が起きた場合には、国の予防接種健康被害救済制度の対象とはならず、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構」の規定に基づく救済給付による給付になります。

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