糖尿病に合併する皮膚病変

糖尿病による血管障害や神経障害あるいは脂質代謝異常増悪により、下記のような皮膚病変が出現します。
1)汎発性環状肉芽腫
紅色から褐色調の扁平隆起性の環状皮疹や非定型皮疹が、糖尿病の合併は約20%前後に出現します。自覚症状が無いことが多いが、時に掻痒を伴うこともあります。
2)リポイド類壊死症
類円形ないし不整形の紅褐色調の浸潤局面で、中央部がやや萎縮・陥凹して黄色~黄褐色を呈し、周囲は紫~褐紫調を呈して毛細血管拡張と光沢があります。女性の下腿伸側に両側性に出現しやすく、糖尿病の合併は25-35%程度と考えられています。
3)糖尿病性黄色腫
糖尿病の家族歴を持つ20-30歳代に好発します。糖尿病のコントロール不良を契機に出現することが多い。脂質異常症はV型が最も多く、ついでIV型、I型が多い。好発部位は四肢伸側で、特に肘頭、膝蓋、臀部で、米粒大から小豆大の黄色ないし赤褐色の丘疹または小結節が多発し、時に掻痒を伴います。糖尿病治療で高脂血症も改善すると、症状は軽快します。
4)糖尿病性浮腫性硬化症
糖尿病歴が長く、治療抵抗性でコントロール不良の症例に合併しやすく、肥満・脂質異常症・高血圧を伴うことが多いです。項部から上背部に指圧痕を残さない硬化局面が見られます。表面は常色で、触診で容易に境界明瞭な硬化性病変を認識できることが多いですが、肉眼的に認識しがたいこともあり、あるいは腫瘤として認識されることもあります。
5)色素性痒疹
I型糖尿病が半数を占め、II型糖尿病でも糖尿病の治療を中断して、糖分を多く含むソフトドリンクを多飲する習慣によりケトーシスを生じる(ペットボトル症候群)こともあります。インシュリン治療により、ケトーシスの改善と共に軽快することが多いです。
6)後天性反応性穿孔性膠原線維症(acquired reactive perforating collagenosis)
腎不全や透析になった重症糖尿病や糖尿病性腎症に併発することが多く、体幹と四肢に強い掻痒のある多発性丘疹で、中央が陥凹し、固着性の角質または黒色痂皮を伴います。ケブネル現象を伴い、個疹が線状に配列して融合することがあります。病理組織では、膠原線維や弾力線維など真皮の変性物質の経表皮的排出像を認めます。
7)糖尿病性水疱
糖尿病コントロール不良で合併症のある中高年男性に好発し、微小血管障害が原因と考えられています。足趾・足縁・踵・下腿などに炎症のない緊満性水疱あるいは血性水疱が突然に誘因無く生じ、自覚症状を欠くことが多いです。
8)前脛骨部色素斑
下腿前面に生じる褐色の萎縮性小斑で、微小血管障害によるものと考えられます。
9)糖尿病性皮膚潰瘍・壊疽
微小血管障害や閉塞性動脈硬化症(ASO)を伴う糖尿病性潰瘍・壊疽の合併率は高く、ASOによる血流障害で生じる皮膚潰瘍の場合は、多発性に趾尖や趾間に生じることが多いです。軟部組織が萎縮して皮膚が蒼白で冷たいことが多いが、二次感染を伴うと逆に発赤する場合があります。一方、糖尿病性神経障害から生じる皮膚潰瘍の場合は、加重が集中しやすい足底・踵・趾腹に好発して角質増殖を伴うことが多いです。神経症状は両足にしびれ、疼痛、ちくちく感などの知覚異常を伴います。いずれの場合も、微細な外傷や二次感染などの外的因子で容易に悪化しやすく、難治なことが多いです。
 
*この他にも、糖尿病が悪化すると、皮膚掻痒症になりやすく、細菌や真菌(白癬やカンジダ)感染を生じやすくなり、皮膚潰瘍から蜂窩織炎、壊疽、骨髄炎に進展しやすいので、注意が必要です。

執筆:2011.1

▲PageTop

ページトップに戻る