丹毒

本症は、真皮を病変の主座とする急性びまん性の細菌感染症です。主にA群β溶血性レンサ球菌(S. pyogenes)が原因菌ですが、他群のレンサ球菌(新生児ではB群)、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌などでも類似の症状をきたす場合があります。新生児、少児や高齢者に出現頻度が高いです。

突然、悪寒・発熱・頭痛・嘔気などの全身症状を伴って発症することが多く、主に顔面や下肢や臍部に有痛性の境界明瞭な浮腫性紅斑や浮腫性堤防状隆起局面が生じ、皮疹は急速に"油を流したように"遠心性に拡大します。ときに浮腫性紅斑上に水疱を形成すること(水疱性丹毒)や、同一部位に繰り返し発症する場合(習慣性丹毒)もあります。
顔面に生じる丹毒は片側から始まって急速に両側性となりやすく、歯性感染症や副鼻腔炎から波及することもあります。
危険因子として、癌、肝硬変、糖尿病、腎不全、ネフローゼ症候群、慢性リンパ浮腫、好中球減少症、医原性免疫不全、低栄養などが挙げられます。
検査所見としては、レンサ球菌感染を反映して、菌体外産物に対する抗体(ASO,ASKなど)が上昇し、赤沈亢進、白血球増多(核左方移動)、CRP陽性になる。しかし、組織片や吸引組織液からの細菌検出率は低い。PCR法によるレンサ球菌の検出も可能である。
蜂窩織炎(より深在性の病変であり、紅斑の境界が明瞭ではない)、壊死性筋膜炎(急速に進展する皮膚の壊死病変と激烈な全身症状)血栓性静脈炎、Sweet病、帯状疱疹、丹毒様癌、SLEの蝶形紅斑、虫刺症、接触皮膚炎などとの鑑別が重要です。
治療は抗生物質投与(ペニシリン系や新世代経口セフェム薬)を行い、再発や腎炎の併発を考慮して、軽快後も10日間は治療を続けます。習慣性丹毒の場合は治療に難渋することが多く、予防投与も考慮します。
 

執筆:2011.1

▲PageTop

ページトップに戻る