多形滲出性紅斑

本症は、二重~三重の環状を呈する特徴的な浮腫様紅斑(target lesion)を生じる急性炎症性疾患で、病原微生物(ウイルス・細菌・真菌など)感染症・薬剤・食物・内分泌異常・内臓悪性腫瘍などの様々な原因で生じ、その大部分はアレルギー性皮膚反応と考えられています。原因として多いものは、単純性疱疹、溶連菌感染症、マイコプラズマ感染、真菌、薬剤などがありますが、原因不明で再発を繰り返すものもしばしばみられます。

皮膚症状が主体で全身症状を伴わない軽症型と、皮膚症状のみでなく眼・口唇・外陰部の粘膜症状(発赤・糜爛)と、発熱・全身倦怠感・筋肉痛などの全身症状を伴う重症型があります(重症型の中には、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症などもあります)。

軽症型は、前駆症状が無いことが多いですが、時に軽度の頭痛・発熱・倦怠感・関節痛などを伴って、左右対称性に手背、肘頭、膝蓋、足背などの四肢伸側遠位部に米粒大の紅斑が多発性に生じて、数日内に境界鮮明な円形状target lesionとなり、一部は癒合することもあります。掻痒は少ないことが多いですが、新しい皮疹が次々に新生してくると新旧の病変が混在して多形を呈し、2-3週間以内に症状は軽快しますが、再発を繰り返すことも稀ではありません。

重症型は、高熱や全身倦怠感、咽頭痛、関節痛などの全身症状と共に、水疱や糜爛を伴うtarget lesionが広範囲に全身皮膚に生じ、同時に粘膜病変(口唇粘膜、眼結膜、外陰部粘膜に発赤・糜爛)を伴います。経口摂取や排尿が困難になると入院治療も必要になります。
重症化すると、致死的経過をとることもあるので、注意が必要です。

原因は多因子性のため特定の検査はありませんが、感染症が疑われる場合は単純性疱疹ウィルス、ASO、マイコプラズマ抗体価などをチェックします。

軽症型は抗アレルギー薬内服とステロイド外用の対処で十分ですが、重症型の可能性がある場合は入院して全身管理をする必要があります。重症な場合は、皮膚生検を行って診断を確定し、ステロイド内服や点滴が必要なこともあります。また、広範囲な皮膚糜爛がある場合は、熱傷に準じた治療になります。

執筆:2010.4

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