多中心性細網組織球症

多中心性細網組織球症 (Multicentric reticulohistiocytosis)

本症は、組織球の異常増殖により、主に皮膚及び粘膜の多発性小結節性病変と多発性破壊性関節炎を主徴とする極めて稀な疾患です。
初発年齢は40歳代が最も多く、男女比は1:2-3で女性に多いです。

症状

本症は、皮膚病変よりも先に関節症状が初発することが多いです。また、組織球の増殖に伴い直接的に軟骨や骨の破壊を引き起こして、急速に大小の各関節の多発性関節炎を生じ、X-pでは両側対称性に破壊性病変を認めます。本症では、DIP 関節にも他の関節と同程度に破壊がおこり、また、関節近傍骨粗鬆症が存在しないため、関節リウマチ所見とは異なります。更に、炎症性疾患とは異なるため、CRP は上昇せず、血沈も亢進しません。
また、本症の約25% に悪性腫瘍(悪性リンパ腫、胃癌、肺癌、子宮頚癌など)を合併します。高コレステロール血症や黄色腫を合併することもあります。

原因

  1. 皮疹や関節炎が外的刺激を受けやすい部位に発生するため、外的刺激による何らかの反応性増殖であるとの説
  2. SLE、Sjogren症候群、原発性胆汁性肝硬変、などを合併することがあることから、自己免疫学的機序が関与しているとの説
  3. 悪性腫瘍の合併がみられるため、paraneoplastic症候群ととらえる説

などがありますが、明らかな原因は不明です。

病理所見

すりガラス状の好酸性細胞質を有した組織球と多核巨細胞の著しい浸潤が特徴です。組織球は結合組織に存在する大食細胞であり、免疫系のひとつである細網内皮系に含まれる組織球の病的増殖状態と考えられています。

治療

確立された治療法はありませんが、ステロイド内服や免疫抑制剤(メソトレキセート、シクロフォスファミド、クロラムブシルなど)が奏功することが多いです。また、最近ではTNF-α抗体(エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ)の分子標的薬が奏功した報告も散見されます。症例によっては、NSAIDs、抗マラリヤ薬、骨粗鬆症治療薬(アレンドロネートやビスホスホネート)が効果のある場合もあります。
関節変形になった場合は、人工関節置換術も考慮します。
尚、皮膚病変、関節炎と共に、悪性疾患に対する注意深い経過観察が非常に重要です。

執筆:2012.9

▲PageTop

ページトップに戻る