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伝染性軟属腫(ミズイボ)

品川シーサイド皮膚・形成外科クリニック > 伝染性軟属腫(ミズイボ)
ミズイボは俗称であり、医学用語では伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)と呼ばれます。ミズイボは伝染性軟属腫ウイルス(molluscum contagiosum virus; MCV)が表皮角化細胞への感染によって生じます。軟属腫の潜伏期間は2-8週間とされています。
伝染性軟属腫は、1-5mm程度の表面がツルツルして光沢のある皮膚の盛り上がり(丘疹)があり、その頂点部がやや陥凹しているのが特徴です。このウイルスは健常皮膚には感染できませんが、皮膚バリアが破綻した部位(引掻き傷や微細な傷、肌荒れ、乾燥肌、湿疹など)から感染し、細胞性免疫機能の低下も易感染性になると考えられています。
伝染性軟属腫は小児では躯幹や四肢に生じることが多く、大きさの異なる小丘疹が多発します。小児の好発年齢は2~12歳までで、アトピー性皮膚炎の患者には特に出来やすい。
また、健常大人では稀にしか伝染性軟属腫は生じませんが、多数の伝染性軟属腫を認める場合はAIDSに感染している可能性を考慮する必要があります。
伝染性軟属腫は健常小児では何れ自然消退することが多いため、積極的な治療は必要ないという意見もあります(自然消退に要する期間は一般的には6-8ヶ月程度とされますが、数年-5年も要する場合もあります)。一方では、無治療のまま放置しておくと数が増えて範囲も拡大してしまい、周囲の小児に感染させたり、あるいは湿疹やとびひ(伝染性膿痂疹)を引き起こしたりする可能性があるので、むしろ積極的に治療した方が良いとの意見も多いです。
 

治療

伝染性軟属腫の治療として広く一般的に行われているのが、ピンセットによる摘除や液体窒素による冷凍凝固です。いずれも極めて有効な治療法なのですが、子供に痛みや精神的苦痛を強いる治療法であることが欠点です。病変の数が多くなればあるほど治療回数が増えて苦痛も大きくなるので、個人的には、なるべく数が少ないうちにこの治療法で早く治したほうが良いのではないかと考えています。また、治療の目的は伝染性軟属腫に対する免疫機能が出来るまでの間、伝染性軟属腫の数を出来るだけ減らして、患児が社会生活の制限を受けないようにすることであることをご理解下さい。
この他にも、侵襲の少ない治療として、化学物質による腐食やヨクイニン内服することもありますが、効果は上述の治療法より少ないですが、疼痛も少ないので、試してみる価値はあります。
尚、現在までのところ伝染性軟属腫に対する予防ワクチンはありません。
 

注意事項

学校感染症(伝染性軟属腫)に関する統一見解では、
「幼児・小児によく生じ、放っておいても自然に治ってしまうこともありますが、それまでには長期間を要するため、周囲の小児に伝染することを考慮して治療します。プールなどの肌の触れ合う場ではタオルや水着、またはプールのビート板や浮き輪の共用を控えるなどの配慮が必要です。この疾患のために、学校を休む必要はありません。」
従って、伝染性軟属腫がある時にプールを使用する場合、上記の配慮をしながら周囲の小児に直接肌が触れ合わないよう注意することが肝要です。それが現実的には困難な場合は、治療を早く行って自分の免疫が出来て自然消退するまではプールの使用を控えるのが理想的です。

執筆:2011.1