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灯油皮膚炎

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

灯油皮膚炎 (kerosene-induced contact dermatitis)

本症は、灯油による一次性刺激反応としての急性刺激性接触皮膚炎です。
発症部位は主に被覆部位で、衣類に染み込んだ灯油が皮膚と一定時間接触することにより、ヒリヒリした灼熱感、疼痛が出現し、次第にI-II度の熱傷に類似した紅斑や糜爛が生じます。一般的には受傷部位の病変の深さは、灯油の接触時間が長いほど深くなり、数分程度の接触では症状は発現しないことが多いです。
また、広範囲な糜爛が生じると、経皮吸収された灯油により、多臓器が障害され、意識障害、腎障害、肝障害、横紋筋融解、DICなどが生じます。 本症はかつて5歳以下の小児例が圧倒的に多かったのですが、近年は60歳以上の高齢者に多く発症しています。その理由として、近年の暖房器具の電化により、若年から中年層の一般家庭では灯油を燃料とする暖房器具の使用頻度が減少した一方で、高齢者家庭では未だにこれらの使用頻度が高いからだと考えられています。また、高齢に伴う認知症などの精神神経疾患が合併していると、灯油への暴露を記憶していないために、本症の診断が遅れて、症状が悪化してしまうこともあります。
また、灯油のしみたタオルやポケットのなかのガスライターの破損によって本症を生じることもあります。
治療は、接触時間が短時間であれば、ステロイド外用が有効です。しかし、病変が広範で深部に至る場合は、多臓器障害やDICも考慮しながら、熱傷に準じて治療します。

執筆:2013.5