Darier病

本症は常染色体優性遺伝形式の遺伝性角化症で、小児期から10歳代で発症することが多い。
本症の責任遺伝子は12番染色体長腕 (12q23-24.1) に局在し、小胞体に分布するカルシウムポンプ (SERCA2) をコードするATP2A2です。しかし、カルシウム濃度の逸脱からどのような機序で表皮細胞間解離と角化異常が惹起されるのかは未だ不明です。

症状

顔面・胸部・背部などの脂漏性部位を中心に褐色調の角化性小丘疹を生じ、その後、鱗屑や痂皮を伴うようになります。時に小丘疹は集簇・癒合して増殖性疣状局面を形成することもあります。掻痒を伴うことが多く、鼠径部などの間擦部位に病変が生じた場合、丘疹が癒合して乳頭状になり、浸軟と二次感染を合併して強い悪臭を伴います。手足では、手掌・足底の点状陥凹、角化性局面、角質増殖がみられます。手背・足背では疣贅状肢端角化症を伴うことがあります。爪は脆弱・粗造化などを呈するが、毛髪には異常がありません。また、白色の小丘疹や小結節が口腔内・肛門・外陰部の粘膜に出現します。
皮膚外症状として、精神発達遅滞やてんかん、躁うつ病などの精神症状を伴うことがあります。
高温・多湿・多汗・出産・手術・紫外線暴露・機械的刺激などにより、症状が悪化することが知られています。また、細菌や真菌による二次感染により、皮疹の増悪、悪臭の増悪がみられます。ウィルス性感染症の合併として、カポジ水痘様発疹症が多く認められます。女性では月経前に悪化することがあり、炭酸リチウム内服でも増悪することがあります。

組織学的所見

円形体、顆粒体などの異常角化と基底層直上の表皮細胞間裂隙が特徴です。これはデスモゾーム-ケラチンフィラメント複合体の異常に起因すると考えられています。

鑑別疾患

Hailey-Hailey病(家族性良性慢性天疱瘡)の責任遺伝子もDarier病と同様にカルシウムポンプをコードするATP2C1遺伝子であり、類縁疾患と考えられています。

治療

内服治療はエトレチナートが用いられることが多いです。有効性は高いが副作用も多く、間歇的治療や、内服を中止せざるを得ない症例も多いです。ステロイド内服は水疱形成を示す特殊なタイプには有効なことがあり、シクロスポリンも有効なことがあります。
外用薬では、ステロイド外用やビタミンD3軟膏などが使用されます。レチノイドやアダパレンなどの使用も試され、難治性の増殖局面に対しては、CO2レーザーなどを用いて外科的剥離術も行われることがあります。
その他、細菌・真菌による二次感染を併発するため、感受性に合わせて抗菌剤の内服・外用を行います。

執筆:2011.4

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