Chediak-Higashi syndrome

Chédiak-Higashi syndrome(チェディアック・東症候群)

本症候群 (CHS)は、白血球の原形質に巨大顆粒を有する免疫不全症であり、病原体の処理能力が低下し、乳児期早期より種々の感染症への抵抗性の低下(易感染性)を示す、稀な常染色体劣性遺伝疾患です。予後不良で、多くの症例では10 歳未満でリンパ腫様症状をきたして死亡します。
責任遺伝子は1q42.1-q42.2に存在するLyst (lysosomal trafficking regulator)で、細胞内膜輸送機能に関連する蛋白を発現していますが、その変異によりリソソームの正常な機能(有害物質の分解、細菌の消化、機能低下した古い細胞内構成物の分解など)ができなくなりCHSが発症すると考えられていますが、その詳細な役割は不明です。

症状

食細胞(特に好中球)の数的減少、機能異常(遊走能低下・食胞内での殺菌の遅延)が生じて、貪食した病原体を消化できず、食細胞のリソソーム内に巨大顆粒が蓄積します。食細胞内巨大顆粒は直径1?3μmの多数の顆粒から成り、形態は不整でmyelo-peroxidaseやacid-phosphatase陽性です。食胞と巨大顆粒の融合障害により、食胞内の細菌は死滅しません。また、細胞傷害性T細胞機能も障害されているため、増悪期(accelerated phase)には、主にEBウィルスによるリンパ腫様病変を呈して致死的病態をもたらします。
細胞内顆粒は白血球だけでなく、メラニン細胞、赤血球や血小板やなどにも存在します。このため、メラニン細胞にあるメラノソームがリソソームと同様に異常に巨大化して正常のメラニン産生ができなくなり、皮膚・毛髪・眼などに部分的白子症がみられ、光線過敏症を認めます。また、血小板の機能低下による出血傾向や貧血もリソソームと同様の機序から生じるものと考えられています。
神経症状は幼少期には目立たちませんが、進行性の知能障害・痙攣・眼振および重篤な脳神経障害・小脳失調・末梢神経障害が出現します。これは神経細胞内で小胞を形成する情報伝達物質の輸送障害が一因と考えられています。

治療

感染症に対しては予防的に抗菌剤の投与が行われます。出血傾向の治療には血小板輸血が有効です。根治的治療としては、造血幹細胞移植を行いますが、移植により易感染性は改善し救命されるものの、その後も神経症状の進行を抑制できないことが判明し、移植後に患者が重篤な小脳失調症に陥ることが報告されています。

鑑別疾患

Griscelli syndrome
GSの臨床症状は、最重症型のRab27A遺伝子異常ではCHSとほぼ同様ですが、その他の責任遺伝子Myo5A、MLPH異常では比較的に軽症です。
GS (Rab27A遺伝子異常)は乳幼児期に発症し、重度の免疫機構障害を合併する常染色体劣性の遺伝性疾患ですが、GSでは好中球内の巨大顆粒は認めず、重要な鑑別点です。 また、毛髪内のメラニン顆粒の分布にCHS、GSで差が存在し鑑別に利用されています。
Hermansky-Pudlak症候群
Hermansky-Pudlak症候群も類縁疾患とされますが、重要な症状は出血性素因であり、重症型のAP3遺伝子異常(3型)は日本人では報告が無いです。

執筆:2011.4

▲PageTop

ページトップに戻る