Zinsser-Cole-Engman症候群

Zinsser-Cole-Engman症候群(先天性角化異常症:Dyskeratosis Congenita)

本症候群は、皮膚の網状色素沈着、爪甲の萎縮菲薄化、口腔粘膜の白斑角化症様変化の3主徴に加えて、時に早老症類似症状を呈する、極めて稀な骨髄不全症候群です。
本症候群は遺伝子末端に存在するテロメアを制御しているテロメラーゼの機能不全と関連があり、テロメラーゼ複合蛋白をエンコードする複数の遺伝子DKC1、TERT、TERC、 NOP10などが関与していると考えられています。実際、本症候群のテロメアは年齢以上に短縮しています。本症候群の様々な亜型はこれらの遺伝子の不調の結果と考えられています。遺伝形式も、伴性劣性(dyskerin変異)、常染色体劣性(Nop10、Nhp2変異)あるいは優性遺伝(TERC変異、早老症類似症状と易発癌性を呈しやすい)があります。

臨床症状

幼児期から思春期(5-15歳頃)にかけて男性に多く(男女比は3:1)発症し、女性では症状がごく軽度なことが多いです。
学童期に初発し、まず爪甲変形、ついで網状の色素沈着が頸部から始まり、体幹や四肢へ拡大します。白板症様変化が舌、頬粘膜・咽頭・食道・直腸・膣・子宮頚部・外陰部に好発し、悪性化して扁平上皮癌になりやすいです。この他にもホジキンリンパ腫、消化器腺癌、咽喉頭癌になることもあります。本症候群の数%において30歳頃から癌化する傾向が高まります。この他、その他の粘膜部位(食道、尿道口、亀頭、涙管、結膜、膣、肛門)に拘縮や狭窄が生じて、嚥下障害、排尿障害、包茎、涙小管閉鎖による流涙などが生じることがあります。
その後、大多数(約90%)が進行性の骨髄不全になり、出血や日和見感染などで死に至ります。 その他に、肺線維症や肺血管異常、睾丸形成不全、肝脾腫、肝硬変、小顎、骨粗しょう症、虚血性骨壊死、側弯症、学習障害や精神発達遅滞などを認めることがあります。

治療

白板症からの悪性変化があるので、定期的診察が必要です。
骨髄不全に対しては対症療法になりますが、アンドロゲンや顆粒球コロニー刺激因子の補給で一時的に造血は可能です。幹細胞移植も考案されていますが、まだ研究段階です。

執筆:2011.4

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