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色素失調症

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

色素失調症 [incontinentia pigmenti; Bloch-Sulzberger(ブロッホ・ザルツバーガー)症候群]

本症は、生下時から4-5歳時頃までの間に皮膚に特有な色素沈着を伴う経過を辿るが、最終的には自然消褪する遺伝性の母斑症です。皮膚症状は自然消褪するので治療は特に必要ありませんが、骨・眼・歯・爪・毛髪・中枢神経系などに合併する奇形に注意して、治療が必要になることもあります。本症はX染色体優性遺伝形式であり、遺伝子異常を持つ男児の大部分は胎内で死亡するため、患者の95%以上は女子です。現在まで700例程度の報告がありますがが、半数以上はは孤発例です。Xq28にマッピングされたNEMO(NF-κB essential modulator)遺伝子(IKBKG)の変異により発症します。

皮膚症状

臨床症状から4期に分類されます。
  1. 炎症期:出生時~生後1週間以内に、紅斑を伴う小水疱が体幹を中心に多発し、やがて膿疱やびらんとなります。これが数週間から数か月ほど持続して次第に消褪します。頭皮に皮疹を生じ、脱毛局面を呈することもあります。この時期は、組織や血中に好酸球増多を高率に認めます。
  2. 疣状苔癬期:第1期の皮疹が消失すると(生後6~12週頃)、同皮疹の四肢末端を中心に角質増殖性の疣贅状丘疹が多発するようになります。これは数か月で消退することが多いですが、成人まで持続する場合もあります。
  3. 色素沈着期:皮疹部位に一致して、灰褐色~紫褐色の特徴的な色素沈着が、生後6か月頃から目立つようになります。特徴的な配列の色素沈着であり、線状や飛沫状、マーブルケーキ状、網目状といった表現がよく用いられます。この時期は、組織や血中の好酸球は正常化してくることが多いです。
  4. 色素沈着消退期:4~5歳頃から色素斑が消退しはじめ、思春期にはほとんど消失します。

その他の合併症状

眼病変:斜視、白内障、水晶体後部繊維症、仮性網膜膠種、網膜血管異常などを呈します。失明に至ることもあるため、眼科的精査が必要です。
骨病変:小人病、頭蓋変形、先天性股関節脱臼、多指症、合指症、欠手症、脊柱側弯症、二分脊椎、半椎、過剰肋骨などがあります。
歯牙病変:歯牙欠損、形成不全、生歯遅延、歯列不正などがあります。
中枢病変:脳皮質萎縮、白質内小空洞形成、小脳内皮質の神経減少、運動神経発達遅延と筋力減少、てんかんや精神発達遅滞をきたす場合があります。
その他の病変:爪甲発達不全や欠損、脱毛、疎毛、乳房低発育、副乳、耳介変形、原発性肺高血圧などがみられます。

執筆:2011.2