脂腺癌

脂腺癌 (sebaceous carcinoma)

本症は皮脂腺由来と考えられる比較的稀な皮膚悪性腫瘍で、局所再発や転移を起こしやすいとされます。日光や放射線照射、免疫能低下、加齢(60歳前後)が本症を誘発するのではないかと考えられていますが、現在のところ原因不明です。 本症は眼瞼脂腺(Meibom腺やZeis腺など)に生じる例(約75%)と、それ以外の皮膚に生じる例に大別されます。また、良性あるいは悪性の脂腺系腫瘍を多発してしばしば内臓癌(結腸直腸癌、外陰・泌尿器系腫瘍など)を伴うMuir-Torre 症候群(常染色体優性遺伝)であることがあります。

症状

眼瞼の脂腺癌では、自覚症状を欠く橙黄色から淡紅色調の硬い小結節が徐々に増大隆起して、大きくなると眼瞼変形並びに視野障害が生じてきます。下眼瞼よりも上眼瞼発生例が多い(1:2-3)です。アジア人により多く発生し、やや女性に多い傾向があります。霰粒腫や眼瞼の慢性炎症疾患との鑑別が難しいこともあるので、注意が必要です。 眼瞼以外のの脂腺癌では、角化傾向がほとんどない肉芽腫様病変のことが多く、時に出血を伴うこともあります。顔面・頭頸部に生じることが多いですが、その他の部位にも生じます。発症に男女差はありません。

病理所見

腫瘍細胞巣内に澄明で空胞変性を伴う、比較的分化した異型脂腺細胞を認めます。しばしばページェット病様を呈し、時には基底細胞癌様、扁平上皮癌様の病理像に似るとこともあります。脂肪滴を確認するために、Oil Red O染色やSudan IV染色などを行います。また、脂肪滴の抗体としてPATファミリーであるadipophilin・perilipinがあり、両者は脂腺癌での脂肪滴の認識に有用とされています。

治療

外科切除(Moh's切除を含む)が第一選択ですが、局所再発は9-36%と報告されています。所属リンパ節に転移している場合は、併せてリンパ節廓清を行います。状況に応じて、化学療法や放射線療法も行われることもあります。
尚、眼瞼の脂腺癌では、転移が約8-25%あり、転移した場合の5年生存率は約50-67%です。

執筆:2012.5

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