サルコイドーシス

原因不明の全身性(多臓器性)肉芽腫性疾患で,その病理像は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とします。若年者(20-30歳代)と中年(40-50歳代)に好発し、両側肺門リンパ節腫脹(BHL)、肺、眼、皮膚病変に症状を呈することが多いですが、消化器、腎、心臓、神経、筋、骨や他臓器が侵されることもあります。男女比はほぼ同じかやや女性に多い傾向で、本邦の推定有病率は7.5~9.3人/10万人で、罹患率は平均0.7です。
抗酸菌、α溶連菌、P.acnesなどが原因菌として提唱されていますが、何れも未だ確証されておらず、原因は未だ不明です。

症状

眼症状(霧視・羞明・飛蚊・視力低下など)で発見される場合が最も多く、次いで皮疹、呼吸器症状(咳、呼吸苦など)、全身倦怠、心症状(不整脈等)が多い。その他、発熱、結節性紅斑、関節痛などを伴うこともあります。しかし、本症発見時の約1/3は無症状であることも特筆すべき点です。 ここでは、サルコイドーシスを強く示唆する皮膚病変の臨床所見を示しますが、その他の各臓器の臨床症状に関しては下記を参照下さい。 (難病情報センター:http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/043_i.htm)
1)皮膚サルコイド:特異的病変
  1. 結節型:隆起性病変で浸潤のある紅色の丘疹・結節です。
  2. 局面型:環状あるいは斑状の非隆起性病変です。環状皮疹は遠心性に拡大する病変で、中央部は正常皮膚色でやや萎縮性を呈し、辺縁は紅色でわずかに堤防状に隆起します。斑状病変は類円形あるいは不整形の紅斑です。
  3. びまん浸潤型:しもやけに類似した皮疹で、暗紅色の色調でびまん性に腫脹します。しもやけと同様に指趾・頬部・耳垂に好発します。
  4. 皮下型:種々の大きさの弾性硬の皮下結節で多発することが多く、病巣部位の皮膚は正常のことが多い。
  5. その他

    a)苔癬様型:粟粒大の扁平小丘疹が集簇性に多発し、時に全身に播種状に出現します。時に毛孔一致性に生じることもあります。
    b)結節性紅斑様:結節性紅斑に類似した臨床像ですが、組織学的に類上皮細胞肉芽腫を認める病変です。
    c)魚鱗癬型:魚のうろこ状の皮疹で、下腿に好発します。
    d)その他の稀な症状:乾癬様病変、疣贅様病変、白斑。

2)瘢痕浸潤:異物を伴う肉芽腫病変
外傷など外的刺激を受けた部位に生じて、膝蓋・肘頭・顔面に好発します。瘢痕に応じて種々の臨床像を呈します。
3)結節性紅斑:非特異的病変
淡紅色の有痛性皮下結節で下腿に好発します。

除外診断

1)他の皮膚肉芽腫を除外する:環状肉芽腫、Annular elastolytic giant cell granuloma,リポイド類壊死、Melkerson-Rosenthal症候群、顔面播種状粟粒性狼瘡、酒さ、皮膚結核など。 2)異物、癌などによるサルコイド反応を除外する。

診断

上記の各臓器の臨床症状を認め、本症に頻度の高い検査所見[胸部X線&CT所見(両側肺門リンパ節腫脹)、血清ACE活性高値、ツベルクリン反応陰性、Gallium-67 citrateシンチグラムにおける著明な集積所見、気管支肺胞洗浄検査でリンパ球増加またはCD4/CD8比高値、血清あるいは尿中カルシウム高値]に加え、罹患部位から採取した組織標本に非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を認めれば、確定します。特に皮膚は他臓器に比べて容易に生検が行えることを考え合わせると、臨床的、組織学的情報を提供しうるので、サルコイドーシスの診断において重要な部位と考えます。しかし、臨床症状が無く検診で発見される症例もあり、組織検査で確定する場合もあります。また、診断基準を満たさない場合は、疑診として経過観察することも重要です。

治療

原因不明のため、本症の根治療法はありません。多くの症例では無治療で経過観察され、臓器障害のために日常生活が障害される症例(自覚症状の強い症例)や、将来生命の予後が危ぶまれる症例(中枢神経病変、心病変等、腎病変))に限って治療が行われています。また、治療薬としては病態より考えて、ステロイドホルモンによる治療が最善と考えられています。しかし、再発例も多く、免疫抑制剤の使用も考慮されています。

予後

本症の予後は発病様式と病変の拡がりが関連しています。結節性紅班を伴う急性発症症例(発熱、関節痛を伴う症例もある)や無症状の両側肺門リンパ節腫脹を示す症例は通常は自然経過で消退する症例が多いです。一方、潜行性発症例、特に他臓器病変のある症例は慢性に進行する症例が多く、一部は肺やその他の臓器の線維化に進展する症例も見られます。本症の多くは自然寛解か、治療によって軽快または治癒しますが、約10%の症例が進行性、難治症例となります。日本では死亡例は非常に少ないとされています。

執筆:2011.2

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