尋常性ざ瘡(ニキビ、にきび)

ニキビの成因

ニキビは顔面(額、頬、口囲、下顎など)・頚部に多く出現しますが、肩や前胸あるいは背部の脊柱近傍にもできます。これらの部位には皮脂腺の分布が多いことから、脂漏部位と呼ばれています。皮脂腺は毛包内に開口しており、皮脂腺で生成された脂質は毛包を通って皮膚表面に排泄されます。

ニキビは一つの毛包に脂腺がたくさんに開口している皮脂腺毛包を病変の場とする疾患です。思春期頃から、男性では睾丸由来の、女性では副腎と卵巣由来のテストステロンという男性ホルモンの分泌が高まり、皮脂腺が肥大して皮脂分泌が活発になります。一方で、皮膚の角質層が厚くなって毛包の開口部(毛孔)が閉塞しがちになり、皮脂が毛包内に溜まって面皰(めんぽう、コメド)を形成し、閉鎖面皰と開放面皰に分けられます。

毛孔が塞がっているのに皮脂が過剰分泌されると毛包内に皮脂と角質が混じりあった塊が出来ます(白ニキビ)。このような環境になると、皮膚の常在菌であるアクネ桿菌などが毛孔に貯まった皮脂を栄養分にして増殖して炎症を誘起させ、それと同時に自分が持っているリパーゼで皮脂を遊離脂肪酸(過酸化脂質)に変化させて炎症をより悪化させ、更に角化を亢進させます(炎症性ニキビ、赤ニキビ)。更に病勢が進行すると、拡大した病変の毛包の壁が破れて近傍の真皮へ炎症が波及して、膿疱や膿瘍が形成されてニキビは重症化して、最終的には凸凹の瘢痕を残して治癒します。

特に女性では、女性ホルモン(黄体ホルモンと卵胞ホルモン)と男性ホルモンのバランスによって皮脂分泌が制御されていますが、この微妙なバランスが崩れると皮脂分泌が盛んになりニキビができやすい状態になると考えられており、特に生理前・中にニキビが悪化する傾向にあります。
尚、ニキビの重症度を炎症性皮疹(赤ニキビと膿疱を含む)の数で判定すると簡便でわかりやすく、自分のニキビがどの程度悪化しているかの目安になります。

軽症:片顔に炎症性皮疹が5 個以下
中等症:片顔に炎症性皮疹が6 個以上20 個以下
重症:片顔に炎症性皮疹が21 個以上50 個以下
最重症:片顔に炎症性皮疹が51 個以上

特殊なニキビ

1)大人ニキビ もうニキビが出来る年頃でもないのに出来てしまうニキビで、近年増加傾向です。皮膚の状態がある程度安定してから出来る大人ニキビは、原因が複雑で10歳代のニキビに比較して治りずらく、ニキビ跡が残ることも多い。原因となるホルモンのアンバランスを引き起こすものは、ストレス、生理の前後、不規則な生活、栄養の偏りがちな食事、睡眠不足、運動不足、便秘、冷え性、日焼け(紫外線)、電磁波などが挙げられています。

2)化粧品ざ瘡(コスメティクアクネ)
オイリースキンではないし、10歳代にニキビができたこともないのに、お化粧をはじめたら頬や口囲にニキビができ易くなるような場合があります。化粧品に含まれている油分が毛孔を刺激して角質を厚くし、それが毛孔を塞ぐために、アクネ桿菌が増殖してニキビができるのではないかと考えられています。カバー力の強い油性のファンデーションや種類の異なる2種類のファンデーション(リキッド+パウダー)の使用を控えることと、帰宅後はメイクを完全に洗い落とすように注意しましょう。くれぐれもメイク落としを忘れて寝込まないように注意して下さい。

3)引掻きニキビ
ニキビが気になって無意識に手で触れて引掻いたり、潰したりする習慣のある女性が時々いますが、二次感染を誘発して皮疹を悪化させるので、この癖を中止して下さい。赤みがなかなかとれずに色素沈着が残ってしまうこともあるし、にきび跡が凸凹になり醜状を呈することもあります。また、マッサージなどでニキビを刺激しないで下さい。

ニキビ治療

ニキビ治療の原則は、1)皮脂の産生を抑える 2)皮脂の皮膚表面への排泄を促進させて毛包内に皮脂が貯留しないようにする 3)アクネ桿菌の数を減少させると共にアクネ桿菌の持っているリパーゼ活性や炎症誘起因子の分泌を抑制することにあります。
医学的治療
1)毛包上皮の角化を正常化させ,新たな面皰の形成を阻害するレチノイド(アダパレン)外用薬を、微小面疱から炎症性ニキビまで幅広く使用することが推奨されています。(但し、ビタミンA誘導体の薬であるために、妊婦または妊娠している可能性がある女性には使用はできません)

2)炎症性ニキビにはアクネ桿菌の数を減少させる抗菌(クリンダマイシン,ナジフロキサシン)外用薬の使用、あるいは抗菌薬(ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ロキシスロマイシンなど)内服が推奨されています。

3)面疱から炎症性ニキビに対して標準治療が無効あるいは実施できない場合には、ケミカルピーリング(グリコール酸あるいはサリチル酸マクロゴール)よる選択も考慮します。(但し,保険適応外の治療になります)

4)面疱から炎症性ニキビに対して,標準治療が無効あるいは実施できない場合には、漢方薬(荊芥連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯など)も選択肢の一つになります。

5)上記以外にも、標準治療に抵抗する場合は、臨床経験上効果が認められるビタミン剤内服やプレグナンジオールの併用、イオウ製剤外用、面皰圧出ビタミンC外用やイオン導入(保険適応外)、IPL治療(保険適応外)なども組み合わせて治療します。

洗顔の励行
洗顔の目的は余分な皮脂と汚れ(埃や大気汚染物質など)を除去することです。即ち、洗顔によって、汗や埃のみならず、皮膚表面の余分な皮脂や古い角質を取り除き、毛孔を塞いでいる角質や皮脂を除去します。毛孔が乾燥しすぎて角化すると皮脂が出にくくなったり、逆に皮脂分泌が過剰になったりすることがあるので、洗顔後にしっかり保湿することも重要です。
洗顔の基本
洗顔回数は朝と就寝前の1日2回です。乾いた顔面にいきなり洗顔料をつけて擦らないようにして下さい。まず、ぬるま湯(35-40度)で顔面を十分濡らしてから泡立ちの良い洗顔料を用いて、顔面を泡で包むようにして、泡を顔の上で転がし滑らせるように、優しく丁寧に洗いましょう。洗顔後は、やはりぬるま湯で洗顔料を十分に洗い落とすことも大切です。また、スクラブ洗顔料の使用は控え、フェイスブラシなどでごしごし洗わないよう注意しましょう。但し、炎症があり、洗顔料がしみる場合は、ぬるま湯による1日2回の洗顔にとどめ、炎症が治れば上記の方法で洗顔を再開して下さい。

尚、皮膚の状態は脂性肌、乾燥肌、混合肌など個人差があるので、自分の肌質に合ったニキビ用洗顔料を選び、メイクを落とすクレンジングは、完全に洗い落とせるタイプのものをお選び下さい。

ニキビがあるときのメイク法
ニキビがあるときでも基礎化粧品は原則的には使用可能ですが、塗布後ヒリヒリ感や掻痒あるいはは発赤が生じる場合は使用を中止して下さい。また、できる限り薄化粧にして、眼や唇をポイントメイクする程度にする方が無難です。メイクアップはオイルフリー、ノンコメドジェニック化粧品を選び、ファンデーションはパウダーを選択した方が良いでしょう。

帰宅したらすぐにメイク落としをして、メイクしたままの就寝しないよう注意して下さい。また、自宅にいるときは、髪が顔面のニキビに当たらないように、髪留めやヘアバンドでまとめておくのも良策です。勿論、休日などでの自宅休養時には極力ノーメイクで過ごすようにして下さい。

食事ケア
緑黄色野菜を含んだバランスのよい食事を1日3回で摂取し、夜食は避けましょう。 皮脂の約60%を占める中性脂肪はニキビの元凶ですので、これらを含む脂っこい食品は勿論控えめにすることが肝要ですが、油脂を多く含んだスナック菓子、牛乳なども過剰摂取にならないよう注意して下さい。炭水化物や糖分やアルコールも体内で中性脂肪に変化しますので、過剰摂取にならないように注意して下さい。

また、便秘になるとニキビが悪化しやすいので、繊維素の多い野菜類を摂取して、お通じをよくしましょう。
極端なダイエットはホルモンバランスを崩してニキビ悪化の要因となるので、減量は緩やかに行って下さい。

精神ケア
心理的・精神的ストレスはニキビ悪化の要因になりますので、ストレスを溜めないようにして下さい。また、夜更かしや睡眠不足もニキビの大敵ですので、規則正しい生活に心掛けましょう。

執筆:2010.1

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