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小児腹壁遠心性脂肪萎縮症

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

品川シーサイド皮膚・形成外科クリニック > 小児腹壁遠心性脂肪萎縮症

小児腹壁遠心性脂肪萎縮症(lipodystrophia centrifugalis abdominalis infantilis)

本症は東洋人の小児の腹壁に好発する稀な脂肪萎縮症です。原因不明ですが、通常小児期に発症して、成人までには軽快・治癒する疾患です。
初発年齢は3歳までに50%以上が、4歳までに85%が発生して、男女比は1:1.6で女児に多いです。初発部位は鼠径部周辺(約80%)、腋窩周辺(約16%)、頚(約4%)です。稀に顔面や仙骨部にも生じます。また、患部の所属リンパ節腫脹がしばしば認められます。
患部は皮下脂肪の萎縮により皮膚の陥凹が目立ち、血管が透見され、遠心性に拡大して腹壁から胸壁に至ります。陥凹病変の拡大は初発後約10年以内には停止することが多く、拡大停止後2/3の症例で、症状の治癒あるいは改善が認められます。

原因

現在のところ不明です。

病理所見

病変辺縁部にはリンパ球浸潤の優位な炎症性細胞浸潤を認めます。陥凹部位では脂肪組織の減少や消失を認め、脂肪融解や変性、貪食像や巨細胞を混じることもあります。

鑑別診断

・全身型脂肪萎縮症
・限局性強皮症
・進行性脂肪萎縮症
・脂肪織炎(特に膠原病に合併する)
・顔面片側萎縮症
・HIVによる脂肪萎縮症 など

治療

確立された治療方法はありません。
炎症を伴う病変があれば、ステロイド(内服、外用、局注)治療が行われますが、効果は不定です。また、瘢痕化した病変中央部の陥凹病変には効果が無いとされます。
近年では、脂肪幹細胞加脂肪移植やレプチン投与も検討され始めています。

執筆:2016.11