尋常性魚鱗癬

尋常性魚鱗癬は四肢伸側を中心とした白色粃糠様、褐色鱗状の鱗屑とドライスキンと、掌蹠の皮膚紋理増強を特徴とする疾患です。

本症はフィラグリン遺伝子(1q21)変異により発症し、本邦での同遺伝子変異の保有率は人口の4-5%程度と考えられ、遺伝形式はautosomal semidominantです。
フィラグリンはケラチン線維を凝集させることで角質の形成に働きますが、その分解産物が天然保湿因子として働くため、皮膚バリア機能の維持と保湿に重要な蛋白です。従って、フィラグリン遺伝子変異により、フィラグリン産生が減少すると、皮膚バリア機能の破綻とドライスキンを呈することになります。
臨床症状は、高温・高湿度の夏季に軽快し、冬季に増悪する傾向があります。他の多くの常染色体劣性遺伝性の魚鱗癬と異なり、出生時には症状を認めず、多くの場合生後2ヶ月以内に発症します。成長と共に症状は軽快することも多いです。
また、本症の約50%にアトピー性皮膚炎を合併しており、アトピー性皮膚炎の約8-37%に尋常性魚鱗癬を合併しています。様々な解析から、フィラグリン遺伝子変異による皮膚バリア障害はアトピー性皮膚炎の重要な発症因子でもあることが示唆されています。
病理組織学的には、表皮顆粒層の菲薄化、ケラトヒアリン顆粒の低形成が特徴です。
治療
本症は寒冷乾燥下で症状が増悪するので、エアコンや加湿器を用いて室内の温度と湿度を適切に維持することが重要です。また、擦り過ぎや脱脂力の強い石鹸の使用を控えた入浴習慣に努めることも必要です。過度の余剰角質を減らして、角質の水分保持を高めて皮膚バリア機能を改善するために、尿素含有外用剤、ヘパリン類似物質外用やサリチル酸ワセリン外用などを使用します。
病因が解明されたため、この病因に基づく新しい治療法が開発されて臨床応用されることが期待されます。
 

執筆:2011.1

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