先天性血管拡張性大理石様皮斑

先天性血管拡張性大理石様皮斑 (Cutis marmorata telangiectatica congenita; CMTC)

本症は、生来性で、紫紅色調で網目状の大理石紋様皮斑(mottling)を呈する、稀で特徴的な血管性母斑症です。この持続する血管拡張を呈する特徴的な皮斑に加えて、血管腫・脈管形成異常、多彩な外肺葉・中胚葉・内胚葉由来の器官・組織における奇形や異所形成をしばしば合併します。特に、限局した小範囲よりも広範に皮斑がある場合は高率に合併症状を伴います。

原因

本症の病因は不明です。大多数は散発性の発症ですが、稀に家族性に生じることもあります。本症に性差はほとんど無く、人種による発生頻度に差もありません。

症状

1)皮疹の詳しい特徴

生来性ですが、通常生後1週間を経過してから青紫色の網状皮疹が生じ始めます。稀に生後3ヶ月~2年頃に症状が出現することもあります。
四肢に多く発生して片側例が多いが、体幹に生じたり、両側性あるいは交差性に発症することもあります。
毛細血管拡張、紅斑、静脈怒張を伴うこともあります。
限局性皮膚萎縮(線状、斑状、渓谷状の陥凹など)を時に認め、症状は軽快しますが、残存します。
時に皮疹に皮膚潰瘍を生じる場合があり、出生時や生後早期に生じることもあります。
網目状の大理石紋様も消退傾向があり、生後1-2年でかなり改善しますが、約80%の症例で軽微な症状が残ります。

2)合併症状

本症の皮膚萎縮部位では、結合組織、皮下脂肪組織、筋肉・骨などの低形成を伴うことがあります。四肢でこのような低形成が起こると、患肢が細くなり(患肢の短縮は少ない)、非対称になります。
本症に単純性血管腫や色素血管母斑症がしばしば認められます。特に、蒙古斑や太田母斑との合併は稀ならず認められます。
本症の50%以上に精神発達遅滞を認め、下記のような合併奇形を生じることがあります。
Sturge-Weber症候群、先天性皮膚欠損症、扁平母斑、片側肢肥大あるいは萎縮、合指症、側弯症、ASD、PDA、重複大動脈弓、大頭症、脳血管障害、二分脊椎、精神発達遅延、緑内障、小顎症、口蓋裂、肛門閉鎖、肝肥大、先天性甲状腺低下症、尿管膣瘻、直腸膣瘻、尿道下裂など。

特に、下記疾患は生命予後に関わる為、十分注意する必要があります。

①大頭症-CMTC
本症に大頭症を有する場合、出生後の高度な成長障害に加え、心性不整脈による突然死をきたすことがあります。単純性血管腫の合併が多いですが、胎児過成長、巨人症、水頭症、筋緊張低下、精神発達遅滞、関節過可動性などを伴います。結合組織の異常が想定されていますが、病因は不明です。

②Adams-Oliver症候群
CMTC(25%にみられる)と頭部の先天性皮膚欠損症を高率に合併し、頭蓋骨欠損、末端横断性肢欠損、小眼球症、心奇形、二分脊椎、耳介奇形などを合併します。本症候群は常染色体優性遺伝疾患で、CART1、HOXD13、MSX1、p63、RUNX2が候補遺伝子に挙げられています。

治療

大理石様皮斑は色素レーザーによる効果は乏しいが、単純性血管腫は色素レーザーが有効です。本症の生命予後は合併奇形の重症度によるため、合併奇形に対する治療が重要です。
特に予後不良になりうる大頭症-CMTCとAdams-Oliver症候群に対する十分な長期的対応が必要です。

執筆:2011.12

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