隆起性皮膚線維肉腫

隆起性皮膚線維肉腫 (dermatofibrosarcoma protuberans;DFSP)


本症は線維組織球由来と推定される低悪性度の間葉系軟部組織腫瘍で、年間3-4.2人/100万人の頻度で発症する比較的稀な腫瘍です。
典型的には緩徐に増殖する皮内あるいは皮下結節として初発し、その後半球状~茸状の腫瘍を生じて被覆表皮は赤褐色調を呈し、糜爛や痂皮を伴うことも多いです。
本症は30代~40代の男性にやや多く、高齢者に生じることは少ないです。また、好発部位は体幹(特に腹壁と胸)と下肢(特に大腿)です。

病理所見

典型的な病理組織像は、腫瘍細胞および線維が渦を巻くように配列するのが特徴的で、花むしろ状(storiform pattern)ないし車軸状を呈します。また,腫瘍細胞は第ⅩⅢ a 因子陰性、CD34 陽性です。
本症の亜型として、下記のものが挙げられます。
1.Fibrosarcomatous DFSP:部分的に束状または魚骨様配列が存在する亜型。線維肉腫への転化はde novoにも再発性病変にも起こり得ます。線維肉腫様領域ではCD34の減弱が見られます。
2. Myxoid DFSP:広範に粘液変性した領域が存在する亜型です。
3.Pigmented DFSP (Bednar tumor):通常のDFSPの組織内にメラノサイトが存在します。
4.DFSP with myoid nodules:筋線維芽細胞への分化を示す、好酸性でSMA陽性の紡錘形細胞の束状構造で構成される領域を持ちます。

遺伝子異常

本症の多くの症例で、特異的染色体転座t(17;22)(q22;q13)および余剰環状染色体を認めます。この染色体異常により、17番染色体上のI型コラーゲンと22番染色体上の血小板由来増殖因子との融合によるCOL1A1-PDGFBキメラ遺伝子が発現します。このキメラ遺伝子は特にPDGF-BBを異常産生させて、それに関連する細胞内伝達経路(チロシンキナーゼ)の亢進を誘起させて悪性転化を促進していると考えられています。

治療

病変を単純切除しても局所再発しやすいため、広範囲切除(少なくとも病変より2-3cm以上離し、下床の筋膜を含めて切除)する必要があります。しかし、遠隔転移をきたすことは稀(2-3%.以下)です。
近年、Imatinib mesylate (GlivecR)はチロシンキナーゼ阻害剤である為、本症の治療にも有力であると考えられ、手術不能症例や転移症例に試用され始めています。
この他にも手術による切除が適わない場合は、放射線療法(50-70 Gy)も考慮しますが、再発率は24-90%と報告されています。

執筆:2011.10

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