猫ひっかき病

本症はBartonella Henselaeによる人畜共通感染症の一つで、昨今のペットブームで増加しています。感染源は大部分が猫であり、日本では猫の15~50%が本菌を保有しているとされます。本菌は猫に対して全く病原性はありませんが、猫の血液・唾液・眼脂などに本菌がいるため、猫に咬まれたり引掻かれたりすることによってヒトへ感染すると考えられます。猫から猫への菌の伝播にはネコノミが関与していますが、時にネコノミを媒介にヒトに感染することもあります。最近では、犬、チータ、ピューマなど多くの動物も保有していることがわかり、今後様々な動物を介したネコひっかき病が出現する可能性があります。
典型例では、猫に引掻かれた傷に疼痛や掻痒感を伴う膿疱が出現し、その後水疱や紅斑が生じて数日から数ヶ月で瘢痕を残さずに治癒します。並行してリンパ節腫脹を認め、手の傷であれば腋窩リンパ節が、足の傷なら鼠径リンパ節が腫脹します。しかし、顔に傷がなくとも、頚部リンパ節腫脹がみられることも稀ではありません。
腫脹したリンパ節は多くの場合痛みを伴い、体表に近いリンパ節腫張では皮膚の発赤や熱感を伴うこともあります。ほとんどの人で発熱が長く続き、全身倦怠、関節痛、嘔気等も出現します。特に治療を行わなくても、数週間~数ヶ月をかけて自然に治癒することも多いです。全身症状が強く重症のリンパ節炎では抗菌薬で治療を行います。また、免疫不全者では、重症化することもあります。

執筆:2011.1

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