乳房ページェット病

乳房Paget(ページェット)病 (mammary Paget's disease)

症状

本症は乳癌の亜型と考えられており、乳頭および乳暈を中心に、乳管癌の乳頭表皮内に進展したPaget細胞が、境界明瞭な紅斑・湿潤・糜爛を形成するのが特徴です。乳管内の癌巣が非浸潤か微小浸潤のものが真のPaget病であり、乳腺内の浸潤癌が経乳管的に乳頭表皮に進展したものをPagetoid癌と呼びます。Paget病は中年女性以降の高齢期の癌であり、早期癌であればリンパ節転移はみられず予後は良好ですが、Pagetoid癌はリンパ節転移が多く進行癌のことが多いです。通常片側性であり、両側性や男性の発症はきわめて稀です。Paget病は乳癌全体の約0.5%程度で、臨床的に乳頭皮膚に同じような所見を示すPagetoid癌もほぼ同じ頻度で認めます。

病因

乳腺排出管細胞に発した乳管癌(intraductal carcinoma)の腺癌細胞が、乳頭表皮内に進展して生じると考えられています。Paget細胞はluminal lactiferous ductal epitheliumに由来すると考えられています。


病理所見
経乳管的に乳頭表皮内に進展した腺癌細胞をPaget細胞(典型的には大型の明るい泡沫状の細胞質と、大きく目立つ核をもつ円形ないし卵円形の細胞)と呼びます。表皮内に進展したPaget細胞により乳頭皮膚は発赤を示し、Paget細胞が表皮を破壊すると糜爛を形成します。Paget細胞の表皮内の進展速度は1年間に約半径3.6mm程度ですが、Paget細胞が表皮の基底膜を破って表皮下に浸潤することは稀ですが、時に浸潤癌に至ることもあると考えられています。臨床上それほど病変が進行していないようにみえる段階でも、かなり広範囲の乳管や乳腺にPaget 細胞は浸潤していることがあるので注意が必要です。
免疫染色ではCK7 陽性を示します。

鑑別診断
慢性乳房湿疹、体部白癬、基底細胞癌などと鑑別します。特に乳房に生じた難治性の湿疹病変で通常の外用療法に反応しない場合に本症を疑います。

検査

Paget 病の広がりは、乳頭に限局するものから乳房内に広範囲に進展するものまでさまざまで、乳頭周囲に限局するものでは画像として捉えられないこともあります。マンモグラフィでは3割弱あるいは半数程度で所見を認め、超音波検査でも異常を描出できないことも多いため、最近ではMRIが異常病変をかなり描出できるので、診断に有用と考えられています。また、乳頭分泌物や糜爛からの細胞診断や生検で診断を確定します。

治療

病変が乳頭・乳輪およびその近くの乳腺に留まっている早期癌の場合は、乳頭・乳輪を含む部分切除は必要なものの、放射線治療との組み合わせで、乳房温存療法が可能です。また、時に浸潤癌の可能性がありうるので、センチネルリンパ節生検を併施することが望ましいとされています。術後補助療法に関しては、併存する乳管癌の程度に応じた標準治療を行います。Pagetoid癌では乳癌の治療に準じて、乳房切断および所属リンパ節郭清が原則となります。

執筆:2011.3

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