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軟性下疳

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

軟性下疳(chancroid)

本症は、性行為によって軟性下疳菌 (Haemophilus ducreyi) が感染することによって発症します。グラム陰性桿菌で、Unna-Pappenheim 染色によく染まる。熱帯や亜熱帯地方の発展途上国では頻度が高いが、日本では、海外に出かけた人が持ち込んでくることが多いとされ、国内で感染することはほとんどないとされています。
感染から2~3日後に、冠状溝・包皮・陰唇・膣口などに紅色丘疹を認め、まもなく膿疱化したり潰瘍となります。時に口腔へ感染することもあります。潰瘍は疼痛を伴い中心に膿苔があり、触れると軟らかい。病変は初期には1か所ですが、自家接種による多発や急速な病変拡大があります。発症して2~3週間後に、25~60%の患者において有痛性、片側性の鼠径リンパ節腫脹〔有痛性横痃(bubo dolenter)〕を認めます。
診断は臨床症状から判断できます。伊東反応(軟性下疳菌ワクチンを用いて皮内反応を行う)が従来用いられていたが、近年は行われていません。
本症の治療は数種類の抗生物質が有効です。セフトリアキソンの注射による単回投与は有効ですが、アジスロマイシンの単回経口投与、シプロフロキサシンの経口投与を3日間、エリスロマイシンの経口投与を7日間なども効果があります。大部分の菌株はテトラサイクリン、アモキシシリン、ST合剤などには耐性となっています。
軟性下疳に感染している場合、他のSTD(特にHIV)にも注意が必要です。

執筆:2011.5