毛包上皮腫

毛包上皮腫 (trichoepithelioma)

本症は、毛乳頭、外毛根鞘、毛髪などさまざまな方向に分化する毛芽由来の良性付属器腫瘍です。
孤発性の場合が多く、直径2~5 mm程度の正常皮膚色で弾性硬の小結節が、主に顔面(鼻周囲や眉毛部、上口部、頤部、頬部など)に生じます。多くの場合、若年の成人に発現し、小児においてはごく稀で、遺伝性はありません。
多発性の場合は、顔面正中部、被髪頭部、項頸部、体幹に対称性に多発する正常皮膚色の数mm~1 cm 大の半球状の硬い丘疹を呈し、臨床的に基底細胞上皮腫に極めて類似しています。常染色体優性遺伝で、思春期に初発して徐々に増加し、女子にやや多いです。 Brooke-Spiegler 症候群、多発性家族性毛包上皮腫、家族性円柱腫症では、cylindromatosis gene(CYLD 遺伝子;16q12-q13)の異常が同定されています。

病理所見

孤発性

小角質嚢腫や基底細胞上皮腫様細胞で構成され、間質が増殖しています。基底細胞上皮腫との鑑別の難しいものもありますが、多くは分化が進んだ角質嚢腫が多く、不完全ながら毛乳頭の形成もみられる所見を呈します。ときに周囲に異物反応や石灰沈着を認めます。

多発性

基底細胞上皮腫様細胞から成る腫瘍塊を基本単位とし、その中に角質嚢腫を認めます。このような腫瘍塊が多数集簇します。また、メルケル細胞が病巣内に多数存在し、CD34陽性樹状細胞が病巣周囲に認められます。

鑑別疾患

基底細胞上皮腫、微小嚢腫性付属器癌 (microcystic adnexal carcinoma) などが挙げられます。また、顔面正中部の多発性丘疹は結節性硬化症の顔面血管線維腫に類似しますが、白斑や粒起革様皮膚など他症状の有無で鑑別可能なことが多いです。

治療

本症では悪性化することがないため、原則的には経過観察となります。しかし、整容的に外科的摘除も考慮します。孤発例では単純切除できますが、多発例では切除は容易ではなく、レーザー治療、剥皮術、冷凍療法などが行われますが、再発しやすいです。

線維形成性毛包上皮腫 (desmoplastic trichoepithelioma)

本症は、上記と同様に孤発性の比較的稀な良性腫瘍ですが、浸潤傾向がやや強いです。比較的若年成人女性の頬部、額部、鼻部などの顔面に好発し、正常皮膚色から淡黄色で数mm~1 cm までの環状結節ないしは局面を呈します。辺縁が隆起して中央が陥凹するのが特徴で、辺縁に顆粒状の丘疹性病変を伴う場合もあります。遺伝性はないと考えられています。
病理組織学的には、硝子化した膠原線維内に、腫瘍細胞の索状増殖や多数の角質嚢腫を認めます。時に、基底細胞上皮腫との鑑別が困難なものもあります。 治療は外科的に完全切除できれば再発はありません。

執筆:2012.6

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