慢性色素性紫斑

慢性色素性紫斑 (purpura pigmentosa chronica)
本症は下腿に好発する点状紫斑を主徴とし、時に毛細血管拡張や丘疹を伴い、徐々にヘモジデリンによる色素沈着を呈する、慢性の炎症性疾患です。中年以降の下肢に好発し、主に臨床的特徴から、Majocchi病、Scamberg病、Gougerot-Blum病、itching purpura、lichen aureusの各病型に分類されます。尚、本症では出血性素因としての血液検査に、異常を認めません。
原因不明ですが、下肢静脈系の循環障害を認めることが多いが、感染病巣(慢性扁桃炎、う歯など)や薬剤(カルバミド、ジアゼパム、メプロバメート、アセトアミノフェン、チアミンなど)衣類の接触などが原因のこともあります。

1)Majocchi病(血管拡張性環状紫斑)
臨床的に点状の紅色丘疹が集簇して円形病変を形成して遠心性に拡大し、その周囲が環状を呈してその辺縁が毛細血管で縁取られたような症状が特徴です。20-50歳代に発症して、やや女性に多いとされます。下肢に好発しますが、時に上肢や体幹にも生じることがあります。一般に掻痒はありませんが慢性に経過します。
2)Scamberg病
40歳以降の中年に発症してやや男性に多く、小児例は少ないです。病初期は下腿伸側に対称性に点状出血から始まり、その後不規則な赤褐色斑となり、大きさは様々で境界は明瞭のことが多いです。時に軽度の掻痒を伴い、慢性に経過します。
3)Gougerot-Blum病(色素性紫斑性苔癬様皮膚炎)
40-60歳の男性に多く発症し、下肢が好発部位ですが、上肢や体幹にも出現することがあります。対称性に発症して、病初期は赤色丘疹ですが、徐々に苔癬様になり集簇して癒合し、不規則な局面を形成します。色調も慢性化するにつれて、褐色あるいは紫紅色に変化します。掻痒を伴うことが多く、慢性に経過します。
4)itching purpura(掻痒性紫斑)
中年の男性に多く発症し、両足関節から始まり、3週間程度で下腿・大腿・腰臀部へと上行性に拡大します。病初期はScamberg病と同様の紅色点状皮疹が散在あるいは集簇し、その後褐色調となり出血性となります。掻痒は病初期から強く認めます。経過は数ヶ月で治癒するものから年余に及び、寛解再発を繰り返すこともあります。
5)lichen aureus(黄色苔癬)
10-30歳代の男性に好発し、多くは片側性の下肢に出現するが、上肢に出現することもあります。発症は突然で、わずかに隆起した小丘疹や点状出血が集簇した局面を形成し、黄金色、錆色、暗紫色を呈します。自覚症状もなく、慢性に経過することも多いです。

鑑別診断

高γグロブリン血症製紫斑、アナフィラキトイド紫斑などの血管炎、うっ滞性皮膚炎、菌状息肉症、蛇行性血管腫、リベド血管炎など

治療

原因不明で慢性経過をとることが多いため、治療方法は対症療法になります。
ステロイド外用薬が有効なことが多く、この他に内服(ビタミンC、アドナ、トランサミンなど)することもありますが、効果は一定ではありません。また、掻痒に対しては抗ヒスタミン薬を投与します。
静脈還流障害(うっ滞性皮膚炎など)を併発している場合は、長時間のたち仕事を避け、弾性ストッキングを着用します。また、慢性扁桃炎やう歯などがあればそれに対する治療を行います。衣類による接触皮膚炎が疑われる場合は、その衣類の着用を禁止します。
この他、漢方薬、セファランチン、トラニラスト、グリセオフルビン、ペントキシフィリン、シクロスポリンなどが有効だったとの報告があります。
最近ではnarrow band UVB療法が有効であったとの報告もあります。

執筆:2011.7

▲PageTop

ページトップに戻る