マルネッフェイ型ペニシリウム症

マルネッフェイ型ペニシリウム症 (Penicillium marneffei)

本症は二形性真菌であるPenicillium marneffeiによる全身性感染症です。本真菌は健常者に対しての感染力は低く、通常は、AIDS、臓器移植、抗がん剤治療、ステロイド投与などによる細胞性免疫低下の宿主に日和見感染症として生じます。

疫学

流行地域は東南アジア(タイ、中国南部、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、カンボジア、インド東部、シンガポール、フィリピンなど)で、日本は同真菌の生息域ではないので国内感染はありませんが、今後増加する可能性が高いため、注目すべき輸入真菌症の一つです。

症状

経気道感染により発症すると推測されていますが、流行地域の竹ネズミにも同真菌が感染しているとの報告もあり、その関連性に関しても議論があります。
主症状は、発熱、貧血、体重減少、皮疹、リンパ節腫大、肝脾腫などです。骨病変や関節炎を認めることがあります。呼吸器症状は顕著にならず、胸XpやCTでも肺病変が確認されないことが多いです。
約80%の症例で皮膚病変が認められ、その特徴は、中央が陥凹した丘疹や結節病変が播種状に多発します。その他にも痤瘡様、毛包炎様皮疹が見られることもあります。

診断

検体(骨髄スメア、リンパ節、皮膚組織、血液など)を染色(ライト、HE、グロコット、PASなど)し、特徴的な分裂像 (fission;ソーセージ状にやや湾曲した二分裂細胞が両者を仕切る隔壁と共に認められる) を伴う酵母が貪食細胞内や組織に確認できれば、早期診断につながります。しかし、ヒストプラズマとの鑑別は困難なことも多いです。
培養に関しては、他の輸入真菌症病原体と同様に、安易な組織培養を行うと感染事故を引き起こす可能性があるため、培養同定はレベル3対応施設(国立感染症研究所、千葉真菌医学センターなど)に依頼することになります。 現在のところ、実用可能な血清診断法やPCRによるDNA同定診断は研究段階です。

治療

致死率が非常に高いため、早期診断と適切な早期治療が肝要です。また、抗真菌薬が奏功しても治療終了後に再発することが少なくないため、再発予防のために長期治療が必要になります。
重症例にはアムホテリシンB投与を推奨していますが、無効例や高価であるために、イトラコナゾールやケトコナゾールが投与されることも多いです。
最近では、副作用を軽減しながらアムホテリシンBの真菌に対する殺菌的効果を維持できるDDS製薬(アムホテリシンBリポソーム製剤;アムビゾーム)も使用されています。
新世代アゾール系薬であるボリコナゾールも期待される新薬ですが、臨床データが未だ少ないです。

執筆:2014.1

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