滑膜肉腫

滑膜肉腫 (synovial sarcoma)

本症は組織像が滑膜に似ているために命名されましたが、現在では滑膜との関連性は否定されており、起源不明腫瘍として分類されています。軟部肉腫の中では4番目に多く、その10%を占めるとされます。
15-40歳の若年成人が発症しやすく、四肢関節周囲(特に膝周囲)に好発しますが、関節腔内での発生は極めて稀です。次いで、頭頚部、胸・腹壁を含む体幹部の発生が多いですが、全身のあらゆる部位から発症します(皮膚、心臓、肺、胸膜、腎臓、中枢・末梢神経、骨、食道など)。男女比は1.2:1程度で、大きな性差は認めません。
弾性軟~弾性硬で境界明瞭な類円形もしくは分葉状を呈する深在性腫瘍で無症状のことが多いです。しかし、関節周囲では腱、腱鞘、関節包の外壁に固着するため、可動性が少なく、半数では疼痛や圧痛を伴います。

病理組織

組織の肉眼所見では、平滑な皮膜に覆われ、割面像では黄色~灰白色調を呈し、壊死や出血、石灰化を伴うことがあります。
上皮様細胞と紡錘形細胞の2種類から成り、その比率と分化の程度によって4つに細分類されます(biphasic type, monophasic fibrous type, monophasic epithelial type, poorly differentiated type)。
本症では、X染色体と18番染色体の相互転座 [t(X; 18)] により生じるSS18遺伝子(SYT)とSSX遺伝子 (SSX1, SSX2, SSX4)の融合遺伝子が同定されており、いずれの組織型でもこの融合遺伝子が検出されます。

治療

局所再発率が高いので、治療は外科的完全切除が第一選択になります。どの程度広範囲に切除するかはまだ一定の見解がありません。また、術後の放射線療法や術後化学療法が再発率を減少させるといわれていますが、その効果は明確ではありません。
近年の分子生物学的解析の進歩により、分子標的薬による治療(pazopanib, temsirolimus, cixutumumabなど)も試行され始めています。
遠隔転移はおよそ40%に生じ、圧倒的に肺に転移しやすく、次いで骨や所属リンパ節に多く見られます。5年生存率は36-76%、10年生存率は20-63%とされます。
予後因子は、年齢(40歳以上)、腫瘍径(5cm以上)、悪性度(未分化度が高い)であり、これらの因子が高いと転移の可能性も高くなります。

執筆:2013.3

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