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好酸球性筋膜炎

当院で掲載している希少難治性疾患に関する説明は、患者さん並びにご家族の皆様に参考となる情報提供であり、その検査や治療は当院では行っておりません
また、紹介すべき病院に関しても適切な情報を持ち合わせておりません。
尚、当院では希少難治性疾患に対する医療相談は行っておりませんので、ご理解のほど宜しくお願いします。

好酸球性筋膜炎(eosinophilic fasciitis, diffuse fasciitis with eosinophilia, Shulman syndrome)


激しい運動や外傷を契機に、四肢または体幹に皮膚の浮腫と紅斑をきたし、急速に皮膚硬化と関節の運動制限を生じる原因不明の疾患ですが、何らかの自己免疫学的機序の関与が想定されています。
実際には、激しい運動・外傷・高熱の後に急速に発症する群と、徐々に四肢の動きにくさが進行する亜急性に発症する群があります。
主として四肢対側性に有痛性の発赤腫脹が生じ、同部の皮膚硬化と四肢関節の運動制限が急速に現れます。一見強皮症に類似しますが、レイノ一現象、内臓病変を伴わないません。関節痛を訴える症例でも、明らかな関節炎の像は見られません。四肢末端、顔面、躯幹の変化は稀です。また、手足や指趾には硬化は及ばないが、前腕が侵されるので手指は屈曲拘縮をきたすことがあります。筋膜にまで炎症が及ぶので、筋肉痛や筋力低下をしばしば認めます。この他にも、カルパルトンネル症候群や血液異常、末梢神経障害を合併することがあります。
発症年齢は小児から老人まで広く分布しますが、多くは30~60歳代に発症します。国内でも100例前後が報告されているにすぎませんが、実際にはもっと多いと思われます。男女比は1.5:1で男性にやや多いです。
検査所見では、好酸球増加、免疫グロブリン上昇、赤沈値亢進が特徴的ですが、抗核抗体やリウマチ因子は陰性です。尚、末梢血好酸球の増加は必須ではありません。
病変部の病理組織所見は、皮下組織から筋膜に好酸球浸潤を伴う炎症反応とそれに引き続く筋膜と皮下組織の線維化と肥厚ですが、好酸球浸潤を認めない症例も30%程度あるとされます。

治療

自然寛解をきたすこともありますが、大部分の症例では中等量のステロイド内服により、急速に軽快します。通常プレドニゾロン0.5~0.7 mg/kg/日から開始して漸減し、約2~4年の維持療法後(5mg/日程度)に治療を必要としなくなります。 生命予後は良好ですが、治療が遅れると硬化や関節拘縮が残存することがあります。

執筆:2010.6