汗孔腫

汗孔腫(poroma)

本症は良性腫瘍で、下記のように4種類に分類されています(但し、アポクリン汗孔腫を除きます)。

1)単純性汗腺棘細胞腫(hidroacanthoma simplex;Smith-Coburn型):表皮内に病変が限局する
2)エクリン汗孔腫(eccirne poroma;Pinkus型):表皮と連続して真皮内に病変が増殖する
3)真皮汗管腫瘍(dermal duct tumor;Winkelmann-McLeod型):表皮との連続性を欠き、真皮上層に病変が存在する
4)汗孔汗腺腫(poroid hidradenoma;Mayer-Ackerman型):真皮深層から皮下に病変が嚢腫・結節状構造でみられる

*上記腫瘍は、時に種々の程度に混在した病変を構成することがあります。
尚、本症の原因は不明です。

症状

足底や下腿、手指に好発し、頸部や躯幹にも生じる良性腫瘍ですが、自覚症状無く 緩徐に発育します。肉眼的には、マッシュルーム様の有茎性、あるいは皮内・皮下腫瘍を呈することが多く、しばしば色素沈着、糜爛や潰瘍を伴うこともあります。稀に脂腺母斑の二次変化の症状として出現することがあります。
どの年齢にも出現しますが、成人以降に好発します。発症に関して人種差や男女差はありません。

病理所見

導管系への分化に共通する細胞が2種類あり、汗孔細胞 (poroid cell) およびクチクラ細胞 (cuticular cell) で構成されています。前者は小型で細胞質が好酸性で、核縁が脆弱で核に溝が認められ、コーヒー豆様形態を呈することが多いです。後者は表皮角質層の浅層に類似した細胞質を有したやや大型の細胞で、小管腔を取り囲んでいます。これに加えてアポクリン腺への分化を呈する所見がなければエクリン汗孔腫になります。

治療

外科的に完全切除すれば根治できます。肉眼的に汗孔腫と診断できないことが多いので、病理検索が必要です。

補足

汗腺系腫瘍は、アポクリン腺系とエクリン腺系に分類されますが、両者を明確に区別できる病理所見はアポクリン腺の(断頭)分泌のみにとどまり、現時点でも免疫組織化学染色による有用なマーカーは発見されていません。従って、アポクリン腺への分化を証明できない非アポクリン系汗腺腫瘍は、エクリン腺系腫瘍として診断されているのが実情です。将来、両者を明確に判別する診断技術がが登場することが期待されています。

病理検索の問題点

汗腺導管(duct)系と腺(gland)系の分化があります。導管系への分化はアポクリン腺系とエクリン腺系との判別はできず、また腺系への分化はアポクリン腺系の分化に関しては比較的容易に病理所見が得られますが、一方エクリン腺系への分化に関しては良い指標が無いため、除外診断していくことになります。
導管系への分化に共通する細胞が2種類あり、汗孔細胞 (poroid cell) およびクチクラ細胞 (cuticular cell) で構成されています。これに加えてアポクリン腺への分化を呈する所見がなければエクリン汗孔腫、アポクリン腺分化を呈すれば、アポクリン汗孔腫になります(しかし、上述のように明確に分類できないことが多く、現在のところアポクリン腺への分化を証明できない非アポクリン系汗腺腫瘍は、エクリン系汗腺腫瘍として診断されることになります)。

執筆:2015.1

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