口唇炎

本症は様々な原因による口唇の炎症性変化の総称です。

原因には、口紅、歯磨き粉、外用薬などによる接触アレルギー、細菌、真菌、ウィルス感染、紫外線などがあります。下記に種々の口唇炎についての特徴を記載します。
 
1)接触性口唇炎は、口唇粘膜より赤唇部に強く症状が出現します。原因には、口紅、リップクリーム、歯磨き粉、マンゴー、キウイフルーツ、山芋などの食物摂取、醤油、金属などが挙げられます。
 
2)剥脱性口唇炎は、口唇に限局した鱗屑と痂皮の付着を伴い、心身的な背景が原因になることがあり、子供に多い"舌なめずり皮膚炎"はその典型です。一方、アトピー性皮膚炎の場合は、顔面全体の乾燥症状の部分症状として現れ、紅斑や糜爛を伴うことなく落屑と亀裂を伴うことが多く、治療後に軽度の色素沈着を残すことも多いです。
 
3)日光口唇炎は長年紫外線に暴露されることにより生じ、下口唇に生じやすい。
 
4)肉芽腫性口唇炎は口唇の腫脹を特徴とする原因不明の疾患です。突然の口唇腫脹が生じ、硬度を持った境界不鮮明な紅斑が口唇を超えて認められます。症状は下口唇に多く腫脹は持続性です。原因は外傷性、神経性、薬剤性が挙げられ、歯科金属アレルギーや歯根治療との関係が注目されています。
これに加えて、顔面神経麻痺・陰嚢舌の2つを合併する場合、Melkersson-Rosenthal症候群と呼ばれます。
 
5) 腺性口唇炎小唾液腺の炎症性ないし増殖性変化をきたします。
*日光口唇炎や腺性口唇炎は有棘細胞癌の母地になりうる。
**扁平苔癬や口腔カンジダ症、腸性肢端皮膚炎(亜鉛欠乏症)などとの鑑別も重要です。
治療は上記を引き起こす原因物質や紫外線を避けます。口角炎などを併発しているときは、ビタミン剤投与も考慮します。患部の口唇炎はステロイド外用と保湿剤の併用が有効なことが多いです。カンジダ症が疑われるときは真菌検査を行い、陽性であれば抗真菌剤で治療を行います。亜鉛欠乏症が疑われるときは、血中亜鉛濃度を測定して、不足していれば亜鉛を補充します。肉芽腫性口唇炎や扁平苔癬が疑われるときは、金属パッチテスト検査を行います。生検で悪性所見があれば外科治療を行います。
 

執筆:2011.1

▲PageTop

ページトップに戻る