菊池病

菊池病(Kikuchi disease)

本症は、組織球性壊死性リンパ節炎 (histiocytic necrotizing lymphadenitis)、 亜急性壊死性リンパ節炎 (subacute necrotizing lymphadenitis)などとも呼ばれている、原因不明のリンパ節の腫脹・疼痛を伴う、比較的稀な良性リンパ節炎です。

原因

本症に特異的な病原体が検出されるわけではありませんが、何らかの多岐にわたる感染が契機となり、非特異的な過剰免疫反応を生じて発症するのではないかとの説があります。Epstein-Barr virus (EBV)、cytomegalovirus 、human herpes virus 6 (HHV-6)、human herpes virus 8 (HHV-8)、human immunodeficiency virus (HIV)、parvovirus B19、parainfluenza virus、paramyxovirus、Yersinia enterocolitica、 toxoplasma などが関連するとの報告があります。
また、本症はSLEなどの自己免疫疾患を時に併発することから、遺伝的に非特異的刺激に高感受性のある場合に、過剰増殖したT細胞を介して自己免疫反応が生じているのではないかとの説もあります。

疫学

2-75歳までの幅広い年齢層に発症しますが、特に若年成人(20-30歳代)に多く発症し、やや女性に多く発症するとされています(男女比は1:1.25)。

症状

発熱や感冒様症状を伴って、自発痛または圧痛を伴う頚部リンパ節腫脹が出現することが多いです。リンパ節腫脹は後頸部に多い(65-70%)ですが、他部位(腋窩、鼡経部など)に生じることは稀です。頭痛、嘔気・嘔吐、倦怠感、関節痛、筋肉痛、寝汗、皮疹、胸痛・腹痛、体重減少などもみられることもあります。また、上気道感染症様症状を呈することもあります。稀に肝脾腫や神経症状を呈することがあります。
本症にSLEが併発することが時にありますが、その関連性についての詳細は不明です。
症状は数週間から半年で消退することが多いですが、屡長期間症状が持続することもあります。3-8%程度に再発することがあります。本症で死亡することは極めて稀です。

検査

血液検査で特異的所見はありませんが、白血球数減少(20-50%), 貧血 (23%), 赤沈亢進 (70%), 異型リンパ球 (25%)がみられます。血小板数減少、肝機能障害、LDH上昇がみられることもあります。通常、自己免疫抗体(LE, RF, ANAなど)は陰性です。 CTやMRIでリンパ節腫脹は確認できますが、本症に特異的な所見はありません。
リンパ節生検で確定診断します。

病理所見

傍皮質リンパ節の壊死所見がありますが、Tリンパ球優位で異型リンパ球を認めません。また、赤血球や核の崩壊物を貪食した、三日月状の核を持つマクロファージ (tingible body macrophage) が認められます。時間が経過すると、リンパ節の壊死組織が拡大して、泡沫細胞が目立つようになります。

鑑別疾患

伝染性単核症、SLE、リンパ腫、ネコ引掻き病、結核、サルコイドーシス、川崎病、トキソプラズマ症、梅毒、癩などが挙げられます。

治療

無治療でも自然軽快することが多いため、発熱や疼痛に対する対症療法を行なうことが多いです。非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) が使用されることが多いですが、重症例(髄膜炎症状、小脳症状、肝機能障害、SLE様症状など)ではステロイド内服が必要となることもあります。 最近では、比較的軽症例にもステロイドを使用して早期に治癒を目指す考え方もあります。

執筆:2013.1

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