ケロイド

ケロイド(keloid)
本症は、創傷治癒過程での異常により、瘢痕組織が過剰に増殖して赤く隆起した良性線維増殖性病変で、慢性的に炎症が持続することが特徴です。
思春期から壮年期に発生しやすく、ケロイドは創の範囲を超えて健常な周囲組織に徐々に拡大して病変辺縁に発赤が目立ち、疼痛や掻痒を伴います。前胸部、肩甲部、上腕外側、恥骨上部、耳垂や下顎などに好発し、頭頂部、眼瞼や下腿に生じることは稀です。外傷、熱傷や手術などが原因で、膠原線維性瘢痕が腫瘍様に増殖することが多いですが、原因不明のケロイドの発生もあります。後者の場合には本人も気が付かない小外傷、虫刺傷、ざ瘡、毛嚢炎などが先行することが多いです。

原因

皮膚の張力が強い部位や関節などの周期的な運動などによる力学的刺激が発症因子になりますが、詳細な機序に関しては未だ不明です。この他にも、創傷治癒の遅延、感染や異物アレルギー反応も関与していることが示唆されています。また、本症では人種差(黒人に多く、白人に少ないとされ、黄色人種はその中間)や家族性発症することがありますが、現在のところ遺伝子異常は特定されていません。

病理所見

真皮から皮下組織にかけて、硝子様の太い膠原線維束が縦横に錯綜増殖するパターンが特徴的です。膠原線維束間に紡錘形の線維芽細胞の分布が認められ、紡錘細胞は免疫組織化学的にビメンチン陽性であり、症例によっては平滑筋原性アクチンが陽性で、筋線維芽細胞への分化が示唆されます。肥厚性瘢痕との鑑別は硝子様膠原線維束の多寡を参考にしますが、必ずしも鑑別は容易ではありません。顔面皮膚に生ずる硬化性線維腫(sclerotic fibroma)、線維性丘疹(fibrous papule of the face)との鑑別に苦慮することもあります。

治療

ケロイドは治療しても再発を繰り返すことが多いため、治療に難渋することが多いです。
保存的治療として、トラニラストの内服、ステロイド剤の軟膏・注射、ヘパリン類似物質塗布、圧迫・固定(サポーターや包帯での圧迫、シリコンジェルシート、絆創膏・テープによる圧迫)などがあります。
また、パルス色素レーザーやNd:YAGレーザーで、病変内の血管を破壊するために使用されることがありますが、病変を完全に消失させることはできません。
手術治療としては、手術+術後の放射線治療(術後48時間以内に開始して、3-4連日で総照量15-30Gy)を行います。しかし、上記治療で一時軽快しても、再発することがあります。また、放射線療法による二次性発癌の可能性は否定できないので、長期経過観察が必要です。
尚、本症に対して単独で効果のある治療は確立されておらず、種々の治療を組み合わせた集学的治療を行うことが必要です。

*肥厚性瘢痕(hypertrophic scar)は類縁疾患ですが、その病変は創の範囲内にとどまり、時間とともに軽快して瘢痕が成熟して平坦化しますが、ケロイドは創の範囲を超えて周囲に拡大するとされます。しかし、臨床的には両者が混在したり、その中間的な病状を呈することもあるので、両者は一連の連続した病態とも考えられています。また、肥厚性瘢痕は治療で完治することが多いですが、ケロイドは治療に難渋します。

執筆:2012.7

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