汗孔角化症

汗孔角化症(porokeratosis)

本症は常染色体優性遺伝性疾患ですが、その責任遺伝子の同定は未だ明らかではなく、家族歴を示さない孤発例も多いです。また、本症は角化異常を伴う腫瘍性病変とであり、高発癌性遺伝性皮膚疾患と考えられています。即ち、表皮病変に腫瘍性クローンが存在して、そのクローンが悪性化に進展すると考えられています。

なお、"汗孔"角化症の名前ですが,以前は汗孔の過角化と考えられていましたが、現在では汗孔に限局しないこともわかっています。
皮疹の発症を誘発する因子は、紫外線、外傷、X線照射、紫外線照射、免疫抑制状態などが知られています。
 
本症状は、辺縁が堤防状に隆起する角化性環状性皮疹を呈し、辺縁部に一致して表皮細胞の角化障害の特徴的な病理所見である錯角化性円柱(cornoid lamella)を認めます。
本症は皮疹以外に自覚症状は乏しく慢性に進行し、皮疹の形態や分布状態も多彩です。大きさは大小様々で皮疹中央部は萎縮性のことが多く、時に角質増殖が強いこともあります。
皮疹の分布様式から以下の6 型に分類されていますが、病型の境界がはっきりしない場合もあります。臨床的には日光表在播種型がよく認められます。
1)古典〔Mibelli(ミベリ)〕型:四肢末端や顔面に2cm までの皮疹が対側性に散在。
2)線状型:出生時から幼小児期に初発,列序性を持ち、帯状や線状に配列。
3)限局型:大型皮疹が限局して単発する。
4)表在播種型:播種性に生じた多数の小皮疹が融合。
5)日光表在播種型:成人の日光露光部特に四肢伸側に多発。
6)掌蹠播種型:手掌足蹠に角化した小丘疹が多発。
本症は病変が慢性に拡大し・増数する傾向を示し、自然消退することは稀で、治療にも抵抗することが多いです。本症皮疹出現後から平均22~49年の経過して、有棘細胞癌、ボーエン癌、時に基底細胞癌を生じます。
 
治療は一般に難治ですが、角質融解剤(サリチル酸ワセリンなど)外用、皮膚剥削術、冷凍療法、外科的切除がしばしば行われます。レーザー治療(炭酸ガス、Qスイッチアレクサンドライト)、エトレチナート(ビタミンA 誘導体)内服やインターフェロンβ局注も行われることもあります。ビタミンD3外用、タクロリムス外用等も時に有効なこともあります。病変部位が悪性化した場合は、悪性皮膚腫瘍として治療します。
 

執筆:2011.1

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