柑皮症

柑皮症 (Carotenemia)

本症は、主にカロテノイド(β-クリプトキサンチン、β-カロテン、α-カロテン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンなど)の過剰な摂取で皮膚が黄染される病態です。しかし、高脂血症、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、糖尿病、神経性食思不振症、肝疾患などの二次的疾患からも生じることがあります。
主な血清中のカロテノイドは、β-カロテン、リコペン、ルテインで、胃・小腸で受動的拡散して吸収され、一部は小腸粘膜と肝臓でビタミンAに変換します。そこから末梢組織へと運ばれ、最終的には、汗や尿、脂腺、胃腸分泌液を介して排出されます。カロテノイドは正常皮膚色を維持して、紫外線防御の重要な構成要素になります。
また、カロテノイドは皮膚角質層の細胞間脂質に蓄積するため、過剰摂取すると角質の厚い手掌・足や膝の皮膚あるいは鼻唇溝に黄染しやすい(限局型)ですが、さらに全身の皮膚が黄染することもあります(全身型)。

原因

1)カロテノイドの過剰摂取:β-クリプトキサンチンを多く含むミカン(蜜柑)等、カロテノイドが多い食物(海苔、ニンジン、カボチャ、ほうれん草、パセリ、オクラ、ブロッコリー、シソの葉、アンズ、マンゴー、とうもろこし、スイカ、トマト、うになど)や高カロチン含有サプリメントを極端に過食すると、4-7週間程度で皮膚が黄染されます。

2)二次的疾患に因るもの
高脂血症、ネフローゼ症候群では、カロテノイドに結合する脂質蛋白が多くなるために生じます。また、腎機能が低下するとカロテノイドの排出機能が低下して生じます、
甲状腺機能低下症、糖尿病では、カロテノイドからレチノール(ビタミンA)への転換機能が低下し、相対的に血中にカロテノイドが増加し、また、カロテノイドに結合する脂質蛋白が多くなるために生じます。
肝疾患では、カロテノイドからレチノール(ビタミンA)への転換機能不全となり、生じます。従って、肝機能障害による黄疸と本症が同時に出現することがありえます。
神経性食思不振症(傷みやすい髪や爪、産毛のような体毛、乾皮症などの皮膚症状を呈するタイプ)では、カロテノイド豊富な食物摂取によるものと、併発する甲状腺機能低下症から生じることが多いです。
この他に、アルツハイマー病で本症が生じることがありますが、その原因は現在のところ不明です。

鑑別診断

黄疸はビリルビンが組織に沈着することによって生じる黄染で、肝疾患や溶血性貧血が主な原因です。また、ビリルビンはエラスチンに対する親和性が強いことから、エラスチンの豊富な眼球結膜に黄染がみられます。従って、本症と黄疸の鑑別は眼球結膜の黄染の有無で判別可能です。

治療

カロテノイドが多い食物の過剰摂取による場合は、中止すれば自然に治るもので、特に治療の必要はありません。内分泌異常や代謝異常によって二次的に本症が生じる場合では、原疾患を治療すれば軽快します。

執筆:2011.1

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