グリシェリ症候群

グリシェリ症候群 (Griscelli syndrome)

本症は、皮膚白皮症に加えて、血球貪食による好中球減少症や血小板減少症、慢性感染症、肝脾腫大、免疫不全などを伴う、極めて稀な常染色体劣性遺伝性疾患です。多くの症例でナチュラルキラー細胞の障害があり、遅延型過敏反応が欠如し、抗原に対する反応性細胞増殖に乏しいため、治療しなければ5歳前後で死に至ります。また、免疫グロブリンを産生するリンパ球に障害があることもあります。
本症は3型に分類されており、各々異なった遺伝子異常で生じます。
最重症型は2型で、1&3型は比較的軽症のことが多いです。

1型:MYO5A (15q21)

この遺伝子産物はMyosin-Vaです。この蛋白異常により、銀鉛様の毛髪、露光部位に強い銅色様の日焼け皮膚、眼科的異常、および神経症状(痙攣、筋緊張低下、精神発達遅延など)を伴います。免疫不全はありません。2型よりも臨床症状がやや早期に出現することが多いとされます。本型はElejalde症候群とも呼ばれています。

2型:RAB27A (15q15-q21.1)

この遺伝子産物は低分子量GTPaseスーパーファミリーであるRabファミリーに属します。
この蛋白は膜結合性で蛋白輸送や低分子量GTPase介在の細胞内シグナル伝達に関与していると考えられています。この蛋白異常により、毛髪の白銀色化(メラノソームの輸送異常)及び重度の免疫不全(細胞傷害性T細胞からの溶菌性顆粒の放出異常)、慢性感染症、好中球減少症、血小板減少症などの症状を呈します。殆どの例で神経症状は伴いません。

3型:MLPH (2q37.2)

この遺伝子産物はメラノフィリン (melanophilin) です。銀~灰白色の毛髪を呈し、その他の臨床症状は目立ちません。

補足:メラノサイトの核の周辺で合成されたメラニン色素はメラノソームに蓄積されます。成熟したメラノソームは、微小管により細胞膜の近くまで輸送され、さらにアクチン線維により細胞膜直下まで輸送されて細胞膜につなぎ止められます。最終的にメラノソームは隣接する肌を作る細胞(ケラチノサイト)あるいは毛を作る細胞(毛母細胞)に受け渡され、皮膚や毛髪の暗色化が起ります。
成熟したメラノソーム上にはRAB27Aが特異的に存在し、ここにメラノフィリン(MLPH) 及びモーター蛋白質MYO5Aが結合し、RAB27A-MLPH-MYO5Aの三者複合体が微小管からアクチン線維へのメラノソームの受け渡し、さらにはアクチン線維上のメラノソーム輸送に不可欠と考えられます。従って、これらの遺伝子蛋白産物が欠損すると、メラノソームの搬送に支障が生じて色素欠損が生じ、本症が発症すると考えられています。

検査

光顕にて、毛の髄質近傍に不規則で大きなメラニン顆粒を認め、偏光顕微鏡下では、その毛は単調な白色に見えます。

治療

現在のところ、骨髄移植以外に治療方法はありません。

執筆:2012.4

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