グロムス腫瘍

グロムス腫瘍 (glomus tumor)

本症は、グロムス細胞の増殖による過誤腫で、比較的稀な良性腫瘍です。

症状

通常単発性で、暗紅から紫紅色調で直径1cm程度までの硬い結節が、圧迫や冷水によって著しい疼痛を惹起することが特徴です。若い成人(20-40歳代)の四肢末梢に生じやすく、とりわけ爪甲下に好発します。爪甲下に生じる場合は、20歳以降の成人女性にやや多い傾向があります。稀に、胃腸管、気管、骨、縦隔、肝、膵、腎、卵巣などの皮膚以外の部位にも生じることがあります。
多発型は稀ですが、無症候性あるいは比較的疼痛の少ない直径1 cm 程度の正常色~青色の軟らかいグロームス血管腫 (glomangioma) あるいはグロームス静脈奇形が、播種性あるいは局部的に散布性に出現し、皮膚以外にも生じた症例も報告されています。先天性あるいは小児期に生じることが多く、家族性に生じることも多いです。また、細胞内蛋白であるグロムリンの遺伝子 (1p21-22) 変異による常染色体優性遺伝形式の症例も報告されています。

検査所見

爪甲下に生じる場合は、単純X-pで骨びらんを伴うことがあります。多発型の精査には、MRIも有用です。

病理所見

グロムス細胞由来の平滑筋細胞が増殖して、1層の血管内皮細胞による管腔構造を取り囲いでいます。グロムス細胞はデスミンやミオシン染色で陽性に染色されます。
単発型では腫瘍が境界明瞭な皮膜に覆われており、硬い結節状ですが、多発型ではやや境界が不明瞭で血管腔が海綿状に拡張した血管腫様(glomangioma)で、軟かな性状です。

鑑別診断

カポジ肉腫、エクリンらせん腺腫、平滑筋腫、マフッチ症候群、静脈奇形などが挙げられます。

治療

単発型は、外科的完全摘出術が第一選択で、完全摘出できれば疼痛は消失して完治します。
多発型は、境界が明瞭でなく病変が多数あるため、摘出が困難なことがあります。レーザー治療や硬化療法も行われることがあります。
尚、本症が悪性化することは極めて稀ですが、局所浸潤型、グロームス血管肉腫 (glomangiosarcomas) が報告されています。

執筆:2012.5

▲PageTop

ページトップに戻る