海綿状血管腫

海綿状血管腫 (cavernous hemangioma)

本症は、成熟した奇形性小血管(主に静脈)が皮膚深層、諸臓器(脳、肝臓など)や軟部組織に増生する血管腫です。皮膚では、生下時から存在し、柔軟で圧縮性のある皮下腫瘍として認められ、加齢と共に増大して自然消退はしません。色調は正常色~淡青色~赤紫色であり、皮膚表面に小紅斑が散在し、時に表層に苺状血管腫を伴うこともあります。
特異な形態として、奇形様静脈性血管が蔓状に増殖してヘビがとぐろを巻いたような外観を呈するものは、静脈性蔓状血管腫(venous racemous angioma)と呼ばれます。

病理所見

一層の血管内皮を有する拡大した中小血管~毛細血管の拡張を認め、神経組織を含まず、境界がやや不明瞭な多房性の海綿状病変を呈し、徐々に周囲に浸潤することもあります。拡張した血管内腔には停滞する血液が充満し、陳旧性あるいは新鮮な出血病巣や、石灰化をしばしば認め、静脈性血管奇形や動静脈瘻を合併する場合もあります。

画像診断

皮膚に占拠する病変では、視診や触診でほぼ診断が可能ですが、深部組織に病変がある場合は、一般にMRI (gradient-echo sequenceあるいはFLAIR imaging) で診断できます。それでも確信できない場合は、MRA (magnetic resonance angiogram) や血管造影をすることもあります。出血している場合などではCTも有用です。

遺伝性

皮膚に発生する本症は、通常は非遺伝性です。ごく稀に、多発性に生じる常染色体優性遺伝形式のglomangiomaと呼ばれる疾患があります。
一方、脳内に発症する本症 (cerebral cavernous malformation: CCM)の70-80%は、少なくとも3つの遺伝子異常が関与し、常染色体優勢遺伝を呈します。
CCM1(7q21.2.) :KRIT1 (krev interaction trapped 1)
CCM2 (7p13.) :OSM (osmosensing scaffold for MEKK3)
CCM3 (3q26.1.):PDCD10 (programmed cell death 10)

治療

一般的に、比較的侵襲性の少ない硬化療法が第一選択になります。硬化剤には、アルコール、ソトラデコール(Sotradecol; sodium tetradecyl sulphate)、オルダミン (Oldamin; monoethanolamine oleate) 、ポリドカノール (Polydocanol) などがあります。本症のような低流量の血管腫には、あらかじめ病変にドレナージ動静脈が無いことをレントゲン下で確認してから、超音波エコー下に皮膚から直接硬化剤を注入して病変部の血管を硬化させます。ドレナージ動静脈がある場合には、血管内塞栓療法で病変を縮小させた後に患部に硬化療法を併用する治療を行います。
外科的摘出は皮膚などの表層で限定された小病変に対して行われます。また、硬化療法が無効時には外科的摘出を行うこともありますが、軟部・骨組織や重要臓器に病変が波及している場合は、外科的治療は危険性が多く熟慮を要します。
最近では、ラジオ波焼灼術も治療の選択肢と挙げられています。 いずれの治療でも再発することも多いで、定期的経過観察が必要です。

執筆:2012.5

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