基底細胞癌

基底細胞癌(basal cell carcinoma)

本症は、多様な分化傾向を示す胎生期上皮細胞(上皮胚原基、primary epithelial germ)が増殖して生じる一種の過誤腫(hamartoma)的な皮膚癌、あるいは表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞が悪性化した皮膚癌と考えられています。皮膚悪性腫瘍の中では、最も頻度の高い低悪性度の皮膚癌で、正常組織を緩徐に破壊しつつ増殖を続けます。転移は稀(0.5%)ですが、時に急激な増大・浸潤をして転移をすることもあります。
本症は、日光(特に紫外線)・放射線皮膚障害・熱傷や外傷による瘢痕などと発症の関連性が指摘されています。
男性にやや多い傾向がありますが、ほとんど性差はありません。また、本症は加齢(特に50歳以降)と共に発症する率が増加し、一般に通常の癌年齢よりも高齢者に多い傾向があります。
尚、色素性乾皮症、基底細胞母斑症候群、慢性砒素中毒、脂腺母斑などの基礎疾患から発症することもあり、これらの場合には若年者にも生じて多発するので注意が必要です。

症状

基本的に硬い黒褐色蝋様光沢性小結節であり、病巣辺縁部に縁取るように配列するのが特徴です。また、病変内や周囲に毛細血管拡張を伴うことも多く、進行すると中央部が潰瘍化して出血することもあります。80%以上が顔面に生じ、特に正中部に多い(例外的に表在型およびPinkus型は体幹に好発)です。通常自覚症状はありません。 尚、黄色人種では9割以上が黒褐色の腫瘍を呈するが、白人では通常皮膚色の無色素性を呈するので、注意が必要です。 以下,多様な臨床症状を呈する多数の病型がある。 a) 結節潰瘍型:本症の80%以上を占める。硬い黒褐色小結節が融合した外観で、表皮に毛細血管拡張を伴う。しばしば中央が潰瘍化〔蚕食状潰瘍(rodent ulcer)〕する。 b) 破壊型:結節潰瘍型の進行した型。 c) 表在型〔Paget様基底細胞腫(pagetoid basalioma)〕:紅色~黒褐色の扁平隆起性浸潤局面を形成し、徐々に外方へ拡大する。 d) 斑状強皮症型:楕円形の浸潤局面で中央がややくぼむ。 e) Pinkus型:背腰仙骨部の正中部などに生じる。有茎性の小腫瘍が多発。

診断

ダーマスコピーで診断精度を向上できるので、診断には欠かせません。視診やダーマスコピーでも確定診断できない場合には、局所麻酔下に皮膚生検をすることがあります。転移が疑われる場合は、適宜全身検索が必要になります。 病理所見 多少の細胞異型を伴う、基底細胞に類似した丈の高い腫瘍細胞から成り、胞巣の最外周の細胞は、あたかも正常重層扁平上皮の基底細胞を模倣するように、周囲の組織との境界面に直交して並んでいる(柵状配列)。

治療

手術で腫瘍よりやや大きめに切除するのが原則です。転移は稀なため、完全摘出すれば予後は良好です。但し、手術切除範囲が広範な場合は、形成外科的に再建術を行う必要があります。 高齢で全身状態不良や基礎疾患の状態などで手術不能の場合には、放射線療法、凍結療法、光線力学療法、電気凝固術、5-FU軟膏外用やイミキモド外用などの保存的治療を行うこともあります。

執筆:2011.1

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