血管肉腫

血管肉腫 (angiosarcoma)

高齢者の頭頂部~前頭部および顔面に好発する血管内皮細胞由来の悪性腫瘍です。軟部組織腫瘍の約1-2%程度を占める稀な腫瘍ですが、近年増加傾向にあります。
境界不明瞭な紫斑または結節として初発し、急速に増大し、易出血性でしばしば潰瘍化します。また、紫斑性の小病変として単発、または多中心性に発症することも多いです。病型は斑状、結節、潰瘍の3つに分類されるが、混在することもあります。
早期より、血行性転移を生じやすく、肺・胸膜転移はほぼ必発であり、5年生存率は6-17%で極めて予後が悪いです。
原因は不明ですが、誘因としては、外傷、紫外線、放射線、慢性リンパ浮腫(Stewart-Treves症候群)、塩化ビニール、造影剤(トロトラスト)、殺虫剤、蛋白質同化ホルモン、合成エストロゲンなどの関与が挙げられています。

病理所見

異型性の強い血管内皮細胞が不規則な脈管構造を構築しながら真皮内を増殖し、著明な組織内出血を伴います。免疫組織化学染色では、UEA-1、CD31、CD34、第VIII因子関連抗原が陽性のことが多いです。

検査

早期より遠隔転移しやすいため、CT、MRI、Gaシンチなどによる全身検索を行い、病勢の把握を行うことが重要です。

鑑別診断

悪性黒色腫、基底細胞癌、悪性リンパ腫などとの鑑別が必要なことがあります。

治療

本症の治療は、外科的切除、放射線治療、化学療法、免疫療法などがあるが、標準的な治療法は確立していません。
切除可能な症例は外科的切除が有用ですが、腫瘍が肉眼的範囲を超えて浸潤していることが多く、術後再発が高率であるため、上記治療法を併用することが多いです。
放射線療法は、原発巣に対し腫瘍辺縁から3cm以上離して広範囲に、電子線照射(総量約50-70Gy)が行われるのが一般的です。
化学療法は、タキサン系薬剤(ドセタキセル、パクリタクセル)が最も広く用いられています。抗腫瘍効果以外にも、血管新生阻害作用もあり、有効性が示唆されています。最近では、術前化学療法としても使用されています。
免疫療法は、サイトカインの一つであるリコンビナント・インターロイキン2(rIL-2)の有用性も確認されています。遠隔転移を予防する効果もあるとされています。

執筆:2011.6

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