瘢痕癌

本症は、慢性の瘢痕・瘢痕性病変から二次的に皮膚悪性腫瘍が発生して生じます。瘢痕・瘢痕性病変から生じた潰瘍もしくは癌をMarjolin潰瘍と呼ぶこともあります。本症の発生母地となる瘢痕の要因として、熱傷瘢痕、放射線皮膚炎や潰瘍、慢性膿皮症、先天性表皮水疱症などの慢性水疱症、尋常性狼瘡、慢性円板状エリテマトーデスなどによる瘢痕から生じることが多いです。この他にも、褥瘡、慢性下腿潰瘍、慢性骨髄炎による瘻孔、扁平苔癬などの瘢痕からも生じることがあります。

原因

発症機序は明らかではありませんが、瘢痕を形成する過程での慢性炎症で、活性酸素や窒素化合物が炎症細胞から放出されてDNAを傷害し、変異が積み重なって発癌に繋がるmutagenesisの関与が考えられています。

1) 熱傷瘢痕

幼少時に受傷した深い熱傷は治癒後に熱傷瘢痕となり、長い経過の間にしばしば糜爛や潰瘍を繰り返し生じ、最終的に皮膚悪性腫瘍を発症することがあります。熱傷瘢痕を母地として最も多く発生する皮膚悪性腫瘍は有棘細胞癌ですが、診断時には既に病期進行例が多いため、通常の有棘細胞癌に比して予後不良のことが多いです。この他にも、悪性黒色腫や基底細胞癌が続発することもありますが、頻度は低いです。

2) 放射線治療後の皮膚炎や瘢痕・潰瘍

様々な悪性腫瘍、血管腫、ケロイドなどに対する放射線治療後の皮膚炎・瘢痕や潰瘍から皮膚悪性腫瘍が生じることが知られています。本邦では、以前は有棘細胞癌が圧倒的に多いとされていましたが、近年は基底細胞癌の割合が増加しています。この他にも、悪性黒色腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維肉腫、血管肉腫などが生じることが知られています。

3) 慢性膿皮症

慢性膿皮症に伴う瘢痕にも有棘細胞癌が生じますが、瘢痕内の深部の瘻孔から生じることが多いため、診断が遅れがちとなり、予後が不良になりやすいです。

治療

生じた皮膚悪性腫瘍の治療に準じて行います。

執筆:2012.2

▲PageTop

ページトップに戻る