ポイツ・イェーガー症候群

Peutz-Jeghers(ポイツ・イェーガー)症候群


本症は常染色体優性遺伝性で、小腸を主とする消化管ポリポーシス、口唇や口腔粘膜、四肢末端部の色素斑が特徴です。
常染色体優性遺伝疾患ですが、約半数は孤発例です。第19染色体(19p13.3)に存在するSTK11(LKB1)遺伝子の変異により発症します。STK11遺伝子はセリン/スレオニンキナーゼの一種をコードしており、細胞内においてその標的となる何らかのタンパク質因子(基質タンパク)をリン酸化することにより、細胞の増殖や分化などを制御しているものと考えられています。本症患者の多くではこのキナーゼの活性が消失して癌抑制遺伝子としての機能不全が生じるのではないかと推察されていますが、各種病態を惹起する機序は不明です。
また、本症では胃腸管以外の様々な組織においても、健常人と比較して著しく高い頻度で癌が発生することが知られており、中高年齢になると、全ての癌、消化管癌、膵癌になる確率が上昇します。

症状

1)皮膚の色素沈着
自覚症状のない平坦で境界鮮明な黒褐色の色素斑(径2~10 mm程度)が、口唇や口腔粘膜、掌蹠(とくに四肢末端)に左右対称性にみられます。色素沈着部位を拡大して観察すると、楕円の長軸が皮膚紋理の流線方向に一致し、色素は皮丘で濃く、皮溝では薄くなっています。色素沈着は生下時~幼児期に出現し、加齢に伴って増加・増大する傾向ですが、成人期以降は退色することが多いです。また、皮膚病変の悪性化は認めません。
2)消化管ポリポーシス
全消化管に認められますが、特に空腸に多い。単発のこともあれば、複数の消化管にまたがって数十個以上発生することもあります。一般に、微小なポリープが少数生じても、自覚症状はほとんどありませんが、ポリープがある程度以上の大きさになると、ポリープ表面からの出血のために血便をきたすことがあります。かなり大型のポリープの場合は、腸蠕動により牽引されて腸重積を引き起こす場合があり、強い腹痛や下血を伴います。
組織学的には大部分が過誤腫であり、正常の組織構築を持つので、他の消化管ポリポーシスと違って癌化は少ないですが、約10%の症例では腺腫を併存して癌化することがあります。

治療

美容的に問題のある皮膚色素斑に対しては、レーザー療法や皮膚剥削術を行い、消化管ポリープに対しては、内視鏡的および外科的に切除します。

執筆:2011.1

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