扁平苔癬

扁平苔癬(lichen planus)


本症は、皮膚や口腔粘膜に生じる慢性の炎症性角化症ですが、多彩な症状(環状、線状、肥厚、萎縮、小水疱、潰瘍)を呈することが多いです。角化亢進(錯角化、正角化)と、棘細胞層の肥厚を伴う炎症性角化病変が見られます。性差はなく中年者に好発し、再発しやすいです。

症状

典型的な皮膚病変は、栗粒大で多角形の境界鮮明な紫色の扁平な丘疹が多発し、強い掻痒を伴い、丘疹の中央が陥没することもあります。また、丘疹が癒合すると、特徴的な網目状配列した白色線条(Wickham線条)を認めます。膝・肘・手関節の屈側、下腿伸側、仙骨部に好発しますが、腋窩、鼠径部、乳房下部にも生じる場合があります。
本症の20-30%で、口腔粘膜にレース状や網目状の白斑として現れ,定型的なものは両側頬粘膜にみられます。慢性に経過し,症状の軽快と増悪を繰り返すが、多くは疼痛は少ないです。稀に強い疼痛を伴う萎縮性、糜爛性、あるいは水疱性病変が生じることがあります。口腔粘膜に出来るものは稀に癌化(有棘細胞癌)することがあり,また白板症との鑑別が必要です。一方、皮膚病変は癌化しないとされています。
本症の10-15%で、爪にも異常が認められます。爪甲が薄くなり縦皺が入ったり短くなったりして、進行すると爪甲縦裂症、爪下の角質増殖、爪甲剥離が生じることもあります。
頭皮に病変が及ぶと、小さな脱毛斑が生じたり、瘢痕性脱毛症になることもあります。
扁平苔癬は1~2年後には治癒しますが、さらに遷延化することもあり、特に口腔粘膜できた場合は長びく傾向があります。また、患者の約20%で再発します。

原因

自己免疫反応が背景にあると考えられているが明らかな原因はわかっていません。細菌(スピロヘータ、ピロリ菌など)やウイルス(B & C型肝炎ウィルス、II型単純ヘルペスウィルス、ヒトパピローマウィルス、HIVなど)による感染、薬物,化学物質、歯科用金属アレルギー、ストレスなどの可能性が示唆されています。

検査

診断には皮膚生検による病理組織学検査が必要です。口腔内の病変には金属アレルギーのパッチテストが行われることもあります。

治療

原因と思われる物質や薬物があれば、それを除去したり、回避します。原因不明の場合は局所部位にステロイド外用やタクロリムス外用を行います。その他に、抗アレルギー剤、ビタミン剤、精神安定剤、強肝剤、漢方薬などが補助的に使われます。重症例では副腎皮質ホルモンの全身投与を短期間行うことがあります。

執筆:2011.3

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