Henoch-Schonlein紫斑

Henoch-Schonlein紫斑〔(Henoch-Schonlein purpura;別名:アナフィラクトイド紫斑(anaphylactoid purpura)〕

本症は血小板や凝固因子に起因する紫斑病とは異なり、血管の異常に起因する過敏性血管炎の特殊型です。 本症の病態は、IgA 免疫複合体が血管壁に沈着して発症する血管アレルギーにより、血管透過性の亢進や血管壁の脆弱化が生じて紫斑が生じると考えられています。

症状

典型的には、上気道感染や溶連菌性咽頭炎等の感冒様症状が先行し、感染症が収束してから1-3週間後に紫斑に加えて関節炎症状、消化器症状、腎症状が出現することが多いです。時に、食物や薬物アレルギーが原因になる場合もあります。小児に好発しますが、成人では比較的稀です。
本症の紫斑の特徴は、1-5mm程度の鮮紅色~紫色のやや隆起した点状出血斑で浸潤を触れます。発症部位は、特に両側の下腿伸側
から足背に対称性に出現することが多く、時には腹部、大腿、臀部、上肢伸側にも出現します。 小児では、烈しい腹痛、悪心や嘔吐、吐血、下血(時に血便や粘液便)などの腹部症状を伴うことが多いです。腹痛の原因は、血管透過性が亢進するために、腸管壁に浮腫が生じて起こると考えられています。時に、腸重積(小児の腹痛を訴える患者の約2%)、腸出血、腸管穿孔を認めることがあります。
関節炎症状は足・膝・手・肘などに生じやすいですが、関節が腫脹することは少なく、機能障害や関節変形は生じません。
腎症状は予後との関連も深いため注意を要します。血尿単独では重大な合併症には至らませんが、蛋白尿が持続したり高血圧に至る場合は、腎炎として治療する必要があります。時に急性腎炎からネフローゼに移行することもあります。
本症に付随する関節炎&腹部症状は50-75%、腎症状は20-50%、消化管出血は20-30%の出現頻度です。尚、各症状はほぼ紫斑と同時に出現することが多いですが、出現順位に一定の傾向はありません。
尚、血管透過性亢進により、血管性浮腫(Quincke浮腫)が生じることもあります。 この他に、中枢神経、肺などに症状が出現することがありますが、稀です。

検査所見

本症に特異的な検査所見はありません。 溶連菌感染による場合は、ASO /ASKやCRP 値が上昇します。 血漿第XIII因子活性は約3/4で基準値以下になり、臨床的に重症であるほど低値になります。腎病変をきたしている場合には、血尿や蛋白尿を認めます。腎障害が高度であれば、腎生検をすることもあります。
鑑別診断として、その他の紫斑病、関節リウマチ、虫垂炎、結節性多発動脈炎、Goodpasture症候群、溶連菌感染後腎炎、SLE(全身性エリテマトーデス)等の膠原病、伝染性紅斑、ウィルス性肝炎などを精査します。特に成人例では結節性多発動脈炎との鑑別が重要です。

病理所見

真皮上層の血管壁にフィブリノイド変性を伴う白血球破砕性血管炎の像を認めます。蛍光抗体直接法では、血管壁周囲にIgA の沈着を認めます。腎所見はIgA腎症とほぼ同様の半月像など典型的な糸球体血管炎を認めます。

治療

基本的には小児の予後は良好で、通常は2-3週間で自然治癒します。10歳以下の小児では、約1/3の症例で4ヵ月以内に再燃しますが、2回目以降の症状は初回に比較して軽症のことが多いです。成人例では、小児に比較して慢性化しやすく、難治性腎炎や腎不全に至ることもあります。
安静を第一として、対処療法で対処します。溶連菌感染が原因の場合は抗生物質を用いて治療します。
重要な合併症は腎炎なので、尿検査や腎生検が必要です。腎障害が認められる場合は、ステロイド全身投与を行うことがあります。また、烈しい腹痛や関節痛を合併する場合も、入院してステロイド治療することがあります。重症例には、ステロイドパルス療法、白血球除去療法、シクロスポリンAやジアフェニルスルホンの投与を行うことがありますが、これらの治療法は確立されているわけではありません。

執筆:2011.12

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