母斑性基底細胞癌症候群

母斑性基底細胞癌症候群(同義語:Gorlin症候群、Gorlin-Golz症候群、基底細胞母斑症候群)


本症はPTCH1遺伝子(9q22.3)のハプロ不全により、加齢と共に基底細胞癌、顎骨嚢胞、骨格異常など、外胚葉、中胚葉に腫瘍並びに奇形が多発性に生じる常染色体優性遺伝疾患です。しかし、患者の40%は家族内発症がなく、新しい変異として起こっています。
PTCH1遺伝子はhedgehogシグナル伝達経路に関与し、癌抑制遺伝子としても働いていると考えられていますが、本症ではこの遺伝子に100以上の遺伝子変異が報告されています。加齢・紫外線・放射線等による組織のLoss of heterozygosity (LOH)により、基底細胞癌等の腫瘍が発生すると考えられています。

症状

皮膚症状
通常の発症年齢よりも若く、20歳前後から基底細胞癌が多発して発症します。また、本症に伴う基底細胞癌では顔面以外にも、肩・胸・背部・四肢などの間歇的に紫外線大量暴露部位にも発症しやすいです。
幼少時期から手掌や足蹠に小陥凹を認めます。この症状は他疾患(Bazex症候群など)でも認めるので特異的ではありませんが、診断するには有用な所見です。
皮膚以外の症状
顎骨嚢胞:10歳代から発症することが多く、日本人では基底細胞癌よりも頻度が高く85%に生じます。多発性且つ再発性で上下顎に生じますが、特に下顎に好発します。
異所性石灰化:大脳鎌、小脳テント、トルコ鞍の石灰化、卵巣の石灰化が認められることもあります。
骨格奇形:二分肋骨、肋骨癒合、潜在性二分脊椎、脊柱側湾、中手骨の短縮などが見られることもあります。
その他:前頭突出、脳梁欠損、卵巣線維腫、髄芽細胞腫、心線維腫、腸間膜嚢胞、先天性奇形(口唇・口蓋裂、多指/趾症、白内障)斜視、両眼離開などの合併も報告されています。

治療

発達上の奇形に対する根治療法はありません。基本的には症状に応じた対症治療になります。本症での腫瘍形成の危険因子は紫外線と放射線考えられるので、生後早期から紫外線暴露を回避し、放射線被曝の多い検査や治療には慎重な対応が必要です。
基底細胞癌に対して外科的治療と化学療法が行われますが、早期発見して適切な治療が行われていれば、生命予後は正常人と大差ないです。
顎骨嚢胞は良性腫瘍ですが、早期摘出が望ましいと考えられます。
髄芽細胞腫が発症すると生命予後を左右します。

執筆:2011.5

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