ブルーリ潰瘍

ブルーリ潰瘍 (Buruli ulcer)

本症は結核やハンセン病などと同じ抗酸菌感染症で、Mycobacterium (M.) ulcerans あるいは近縁のM. ulcerans subsp. Shinshuense が病原体です。この抗酸菌が産生するマイコラクトンという脂質性毒素により、四肢などに皮膚壊死が生じて潰瘍を引き起こす疾患です。熱帯・亜熱帯を中心に分布しますが、温暖地域などでも発生しており、世界約30カ国で感染報告があります。国内でも1982年に、長野県でM.ulcerans subsp. Shinshuenseによる感染症が初めて確認され、2009年までに14人の症例が報告されています。
現在のところ、詳しい感染経路は不明です。

症状

初期の皮疹は無痛性の浮腫性丘疹から始まり、その後結節を生じ、皮膚壊死が生じて潰瘍化します。潰瘍は徐々に周囲に拡大し、且つ皮下脂肪組織に至る深い潰瘍を形成します。

治療

病変が局所的で早期であれば、抗菌剤を投与すれば後遺症無く治癒します。
しかし、診断や治療が遅れて広範な病変になると、関節拘縮や運動機能障害などの重篤な後遺症を残すことがあります。従って、致命率は低いですが、深刻な症状により機能的障害を起こすため、生活の質が低下し、それに伴う社会経済への影響が大きな問題となっています。
治療は、ストレプトマイシン+リファンピシン(4週間)治療後、リファンピシン+クラリスロマイシン(4週間)の追加治療、あるいはストレプトマイシン+リファンピシン8週間治療を行います。また、病変部位が残存する場合は、外科的切除して皮膚移植を行うこともあります。
尚、本症は14 種類の顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)の1 つであり、WHO は1998年に世界ブルーリ潰瘍戦略(Global Buruli Ulcer Initiative)を創設して、啓蒙活動、診断治療、予防、研究などに取り組んでいます。

執筆:2011.12

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