苺状血管腫

苺状血管腫 (strawberry mark)

本症は、生後2~3週間あるいは遅くとも3ヶ月以内に毛細血管拡張性の紅斑を生じ、それが徐々に拡大して3~6 ヵ月で赤い隆起性の軟らかい腫瘤を形成する血管腫です。その後、6ヶ月から1年で最大に達しますが(増殖期)、その後全例が主に中央部より徐々に縮小し(退縮期)、学童期(7-10歳頃)には大多数の症例で消退しますが、小さくなっても皮膚の表面に細かい血管が浮き出たり(毛細血管拡張)、ぶよぶよした弛み、皮膚萎縮や瘢痕を残すことがあります。

原因

正常な毛細血管組織として分化できないために発症した血管形成異常の一種と考えられていますが、本症の原因は未だ不明です。エストロゲンが血管腫増殖に関与しているとの報告もあります。

合併症

病変部の皮膚潰瘍が生じることがあり、出血を繰り返したり、皮膚欠損になることがあります。また、眼瞼周囲に生じた場合は、長期間開眼できなくなると視力障害が生じることもあります。病変が巨大になり、咽頭や喉頭にまで波及すると、気道閉塞や摂食障害を生じることがあります。さらに巨大になると、心不全を生じることもあります。骨に近接して生じた場合は、骨を侵蝕したりすることもあります。
本症によって生じる醜形(特に顔面など)が残った場合は、心理的傷害が生じやすいです。
鑑別疾患として、自然消褪することのない海綿状血管腫があります。

治療

上述のように、自然消退しても瘢痕や醜形を残すことがあり、整容的に問題があることから、近年では積極的に発生直後からできる限り早期に、パルス色素レーザー療法を行うことが多いです。特に顔面(眼瞼、口唇、外鼻、耳介など)に生じた小範囲の隆起病変は、可及的速やかに治療を開始します。
中~大きな病変でパルス色素レーザー療法の適応外の症例では、以前から速効性のあるステロイド療法(ステロイドの内服や局所注射など)が使用されてきましたが、近年βブロッカー(プロプラノロール;propranolol)の全身療法や局所塗布(チモロール; timolol)の有効性が示され、使用され始めています。
この他にも、αインターフェロン、ビンクリスティンなどの治療法がありますが、一般的ではありません。
特段の治療はせず放置して瘢痕や醜形が残った場合や、早期治療介入しても瘢痕や醜形が残った場合、およそ7歳以降に形成外科的治療(皮弁形成術、植皮術など)を考慮しますが、限界があります。

執筆:2012.5

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