壊死性遊走性紅斑

壊死性遊走性紅斑 (necrolytic migratory erythema)

本症はグルカゴノーマに伴うデルマドロームとして広く知られていますが、近年ではグルカゴノーマを伴わない症例(特に消化吸収障害や肝疾患:消化管術後、アルコール多飲、慢性膵炎、糖尿病、摂食障害、肝硬変など)が報告されています。海外では偽グルカゴノーマ症候群として、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病、小細胞性肺癌、インシュリン産生腫瘍、十二指腸癌、肝癌などの併発が報告されています。
原因は不明ですが、アミノ酸、亜鉛、必須脂肪酸などの複合栄養障害による表皮の蛋白合成障害によって生じるという説が有力です。

症状

口囲、四肢、下腹部、臀部、鼠径などの刺激を受けやすい部位に好発します。環状、地図状に浮腫性紅斑が拡大し、水疱、糜爛、痂皮など様々な皮疹が混在して、中心治癒傾向を示しながら周囲に拡大します。

病理所見

非特異的所見として、表皮に空胞変性や壊死、好酸球壊死、角質下膿疱、裂隙形成を認めます。真皮乳頭層では毛細血管の新生と拡張を認めることが多く、嚢胞性毛包炎の所見を呈することもあります。

治療

グルカゴノーマであれば、外科的切除が行われます。それ以外に関しては、アミノ酸製剤の経口または経静脈的投与や亜鉛の内服などを含めた複合的栄養補給を行います。

補足
グルカゴノーマ症候群:膵島α細胞グルカゴン分泌腫瘍、糖尿病並びに血清アミノ酸低値を特徴とします。この症候群の約70%に本症が併発すると言われています。体重減少、貧血、口内炎(舌炎)、爪甲異常、消化器疾患、血栓塞栓症、血清アミノ酸低値なども併発することがあります。本症にグルカゴノーマを伴わない場合、偽グルカゴノーマ症候群と呼称することがあります。

執筆:2014.5

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