一過性棘融解性皮膚症

一過性棘融解性皮膚症(transient acantholytic dermatosis; Grover disease)

本症は掻痒を伴う赤褐色調の発疹が躯幹に出現して寛解・増悪を繰り返し、掻破により紅斑や苔癬化を呈し、色素沈着を残します。
時に持続性で難治のものや、自覚症状が少なく掻痒性皮膚炎に類似することもあります。
原因不明ですが、熱や汗と関連して汗腺障害が生じて発症するとの説、太陽光への暴露後に生じるとする説、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性皮膚炎に生じやすいとの説などがありますが、否定的見解も多いです。

疫学

壮年~高齢者の白人男性に多く発症しますが、ヒスパニック系や黒人にもみられます。
男性は女性の3倍以上の罹患率です。

症状

掻痒を伴う1-3㎜大の赤褐色の紅斑あるいは角化性丘疹が、散在性に胸腹部・上背部に好発しますが、症状が悪化すると、頸部、肩、四肢にも病変が播種します。通常、頭部や手足には病変は出現しません。また、病変は時にざ瘡様、膿胞、水疱様になることもあり、片側性や皮膚神経節領域に限局して生じることもあります。
粘膜は通常障害されませんが、口腔内アフタは生じることがあります。

病理所見

小さな巣状の棘融解の病変が表皮内のどのレベルにもあり、密な正角化と錯角化を伴う角化不全を認めます。また、同時に海綿状浮腫が目立ちます。尚、掻痒による掻破のため、過角化、巣状の基底層上の裂隙と水疱、血管周囲と膠原線維間のリンパ球浸潤などが認められることもあります。
本症の病理所見との鑑別疾患に、Darier病、Hailey-Hailey病、尋常性天疱瘡または落葉性天疱瘡などが挙げられます。

治療

病変局所へのステロイド外用を行ったり、再燃を繰り返す症例では、ビタミンA、レチノイド、ステロイドやメソトレキセート内服、UV-B光線療法、PUVA療法、軟X線療法などが行われていますが、難治例も多いです。

執筆:2015.1

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