トランス脂肪酸

トランス脂肪酸(trans-unsaturated fatty acids、TFA)

トランス脂肪酸 (TFA) は、構造中にトランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸です。TFAは天然の植物油にはほとんど含まれず、工業的に不飽和脂肪酸を多く含む植物油を水素付加して硬化した部分硬化油を製造する過程でTFAが副産物として生成されるため、植物油を原料とするマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに多く含有されています。また、TFAは反芻動物(ウシ・ヤギなど)の肉や乳の脂質のうち2〜5%を占有しますが、これは、反芻動物の体内で微生物によってTFAが産生されるためです。

TFAを一定量摂取すると、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増加させてHDLコレステロール(善玉コレステロール)を低下させるため、虚血性心疾患(冠動脈の閉塞・狭心症・心筋梗塞)の発症を高めるとされ、また認知機能を低下させると指摘されています。2003年以降、TFAを含む製品の使用を規制する国が増えています。
デンマーク、スイス、オーストリアでは、100g当たり2g以上のTFAを含んだ油脂の国内流通を禁止しています。アメリカ、カナダ、南米4か国、韓国、香港、台湾、中国では食品への含有量表示を義務付け、ニューヨーク市などの食品販売施設ではTFAを含んだ油脂の使用を禁止しています。一方、日本におけるTFAの摂取量は少なく、健康への影響は小さいとされているために、TFAに関する義務規則は設けられておらず、個人の判断に委ねられているのが現状です。日本人の食の欧米化と嗜好の多様化によって、TFAの過量摂取者が少なからず存在する可能性があるので、今後日本でもTFAの健康への悪影響に関する啓蒙や研究を推進するべきだと思われます。

TFAに関心が集中していますが、一方では飽和脂肪酸の使用量も増加しており、この飽和脂肪酸での健康被害(肥満、動脈硬化、虚血性心疾患など)も危惧されています。飽和脂肪酸もトランス脂肪酸の10倍の許容量である10%を上限とし、どちらも低減を目標とすることが勧められています。

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