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ブレスローの七つの健康習慣

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疾病の発症や予後にはさまざまな要因が影響していますが,それらの要因は,1)加齢などによる個体の機能減退 2)病原体や有害物資,ストレス要因などの「外部環境要因」 3)食習慣や運動習慣といった「生活習慣要因」の3つに大別できます。
今回は生活習慣要因について考えてみることにします。

肥満症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病(食習慣,運動習慣,休養,喫煙,飲酒等の生活習慣が,その発症・進行に関与する疾患群)は、環境や生まれつきの遺伝的な要素にも関係していますが、食習慣(エネルギーや食塩の取りすぎ、飲酒など)、運動習慣、睡眠、ストレス、休養のとり方などの生活習慣にも大きく関わっていることが知られています。

1972年(昭和47年)、Belloc NBとBreslow Lは、住民7000人を対象に様々な生活習慣と、主として身体的健康度(障害、疾病、症状やバイタリティーの有無など)との関係を調査したところ、7つの健康習慣が健康度と有意に関連していることを発見しました。即ち、7つの健康習慣のうち、そのことを実行している数が多い人ほど疾病の罹患が少なく,寿命も長かったことを明らかにしました。このことは,疾病予防には,休養,食生活,運動,喫煙,飲酒などの生活習慣に対する改善が有効であることを示唆しています。これら7つの健康習慣を守っている人は、約60歳まで平均以上の健康度を保って生活習慣病の罹患が少ないのに対し、良い習慣が2個以下の人では、30歳を過ぎると既に健康度は平均以下になっていました。これら7つの健康習慣を実践するかどうかよって、その後の寿命に影響することが分かっています。

その健康習慣の7要素は、下記のような「ブレスローの7つの健康習慣」として広く世界に知られています。

ブレスローの7つの健康習慣

  1. 喫煙をしない
  2. 定期的に運動をする
  3. 過度の飲酒をしない
  4. 適正な睡眠時間(7~8時間)をとる
  5. 適正体重を維持する
  6. 毎日朝食を食べる
  7. 不必要な間食をしない

しかし、生活習慣の重要性を感じながらも,一向に生活習慣を変えられない場合が多いのも事実です。また、職場での生活環境が,個人の生活習慣を大きく規定していることも多く、企業においても,恒常的な残業や不健康な就業慣行を積極的に是正していく姿勢が求められます。そのためには、個々人が上記のような生活習慣改善の必要性を認識して、実際にその行動が容易に出来るような社会的支援が出来る行政指導や体制を構築することが急務と考えられます。

また、現代社会における子供の環境は大きな変化を生じており,それに伴い子供の生活習慣も急速に変貌しています。その結果,睡眠時間の減少,孤食や偏食、朝食抜き、摂食機能の低下,長時間のテレビゲームなどによる運動不足、カロリーの多い間食による肥満傾向など,健康面でさまざまな問題が生じています。生活習慣は小児期からその基盤が身につくことから,家庭、学校、地域や国の保健行政が連携しながら、小児期から生涯を通じた健康増進・維持を推進して、とりわけ生活習慣病を含む加齢関連疾患の発症予防に取り組まなければなりません。 附言として、このストレス社会には、心の安静を保つための健康も大変重要です。日々の生活リズムを守り、人生に目標を定め、前向きで積極的な思考を持って自分なりに社会に多少とも貢献しましょう。

Belloc NB, Breslow L. Relationship of physical health status and health practices. Prev Med. 1972 Aug;1(3):409-21